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あの日からバレンタイン当日の今日まで、岩本さんは何度もチョコくれないって本気じゃないよね？と確認してきたけど、そこに関してはどうでしょうねと濁しておいた。
そして今日、早めにチョコを持って行ってあげようかとも思ったけど、普段の意地悪のお返しにギリギリまで渡さないことにした。
ちょうど夜勤の日だし。
出勤して岩本さんの様子を見に行くと、ちょっと期待したような顔の岩本さんに私はいつも通りの仕事をこなす。
会話はするけど、チョコのことには触れない。
岩本さんも流石に当日は触れにくいのかチョコについては何も言ってこない。
夕飯を下げに行った時、岩本さんはとっても寂しそうな顔をしていた。
消灯十分前。
私は休憩時間に入り、チョコを持って岩本さんの病室へ。
「岩本さん、消灯十分前ですよ。」
照「Aちゃん休憩時間じゃないの？」
なんだか拗ねたような声で、私の方を見ずにそう言う岩本さん。
「そうですよ、休憩中です。これ、岩本さんに渡しに来ました。」
岩本さんのすぐ傍まで行ってそう言うと、ゆっくりと私の方に顔を向けてくれる。
照「え、それ…。」
「んふふ、チョコですよ。いつも岩本さんが意地悪するから今日はちょっと意地悪しちゃいました。」
照「もらえないって思ってた。」
「そんなに欲しかったんですか？」
照「うん、Aちゃんからのチョコが欲しかった。この意味わかる？」
「えーと…。」
照「俺結構アピールしてたつもりなんだけどな…。」
そう言って、私の手からチョコを受け取り、それをサイドテーブルに置いて私の手をグッと引っ張った。
「わっ！？」
岩本さんにギュッと抱きしめられる。
照「好きだよ、Aちゃんのことが好き。返事は今はいらないから、これからは俺のこと、Aちゃんのことが好きな男だって意識して？」
「え、えっと…。」
その瞬間、消灯時間が来てしまい、病室の電気が消えた。
照「俺、退院までにもっとアピール頑張るね。」
岩本さんはそう言って私のおでこにキスをした。
退院までに…
そう聞いて、岩本さんが退院しちゃったら寂しいな、と思っている自分に気付きこれって…？と思う。
おやすみ、と言って腕をほどき、頭をぽんぽんと撫でられ、私もおやすみなさいと言って休憩室に戻る。
部屋が暗くてよかった。
今私、絶対顔真っ赤だ。
END
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作者名：柊李 | 作成日時：2023年2月13日 22時
