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照「もうすぐバレンタインでしょ？」
「あ、そういえばそうですね！」
照「Aちゃんは誰かにあげるの？」
「いえ、職場でもバレンタインはやらないみたいですし…あ、でも父親には買おうかなって思ってます。」
照「そうなんだ、お父さんきっと喜ぶね、娘からのチョコなんて最高でしょ。」
「毎年のことですけど、まぁまぁ喜んでくれますよ。」
なかなかお願いの話にならない？と思っていると、少しだけ言いにくそうに岩本さんが口を開いた。
照「俺も…欲しい…。」
「え？」
照「チョコ。」
「岩本さん、チョコ好きなんですか？」
照「あー、うん。好き。甘党だし、俺。」
「そうなんですね！」
照「あ、今意外だって思ったろ。」
「えぇ！？そんなこと思ってませんよ！！」
照「じゃあチョコくれる？」
じゃあとは…？と思ったけど、入院してると誰にもチョコもらえないだろうし、チョコ好きなのにそれはとても残念だろうし…と思ってわかりましたと答えた。
「どんなチョコがいいですか？」
照「どんなのでも。」
「え、でも好みとか…。」
照「Aちゃんが選んでくれたやつならなんでも嬉しいよ。俺の希望でもらったらおつかいみたいじゃん。それじゃ意味ないの。」
「そうなんですか？わかりました。なるべく美味しそうなの選びますね。」
照「手作りでもいいんだよ？」
「……却下で。」
照「却下された。」
「お菓子作りとかやったことないからダメです。」
照「ふふふ、そうなんだ。」
「あ、今意外とか思いましたね？」
照「ばれた？」
「もうっ！」
照「ふははっ、Aちゃんやっぱ可愛い。」
「〜〜っ！もう！意地悪な岩本さんにはチョコあげません！」
私はそう言って岩本さんと病室から出た。
後ろから制止の声が聞こえたけど、今日は無視した。
本当にもう、すぐ揶揄うんだから！！
と思いながらも、どんなチョコを買おうか悩み始める。
あげない！なんて言ったけどそんなつもりは全くないから、次の休みに買いに行こうと予定まで立てた。
なんやかんや、岩本さんには甘くなってしまう私はきっと岩本さんに良いように操られてるんだ。
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作者名：柊李 | 作成日時：2023年2月13日 22時
