親友のお兄ちゃん（深澤辰哉） ページ1
私には好きな人がいる。
その人は私の親友のお兄ちゃんで、私よりも二つ年上で、かっこよくて優しい。
高校生の時、入学してすぐに話しかけてくれたのが親友の真子だった。
真子は運動神経抜群で、お兄ちゃんがいるというダンス部に入部、私は運動がからっきしだから料理部に入部。
よく、部活で作ったお菓子を部活終わりの真子にお裾分けしていた。
そんな風に楽しく高校生活を送っていたある日、部活終わりでいつも真子と待ち合わせしている場所になかなか真子が来ないから、私はダンス部の活動場所である部活棟へ迎えに行くことにした。
初めて部活棟に足を踏み入れる。
緊張。
ダンス部の部室に近付くと、音楽が聞こえてくる。
そっと中を覗くと、すぐに真子は見つかった。
一生懸命他の部員の子たちと踊る真子はすごくかっこよくて見惚れた。
あまりにも集中していたから、背後から近付く足音に気付けなかったんだ。
辰「入部希望の子？」
「ひっ！？」
辰「んはは、ごめんね驚かしちゃったね。」
「い、いえ…すみません…。」
辰「こんな時期に入部希望？」
「あ、いえ、友達を迎えに来ただけで…。」
辰「あー、なるほどね。今日ちょっと延長なったから待たされちゃったね。中入る？」
そう言って微笑む目の前の男の人にドキドキした。
真「あ！A！迎えに来てくれたの！？」
いつの間にか踊り終わっていた真子が私に気付く。
「真子、すごくかっこよかった！」
真「ありがとー！ってか、辰にぃAになんかした？」
辰「は？してないよ！ちょっと話しかけただけ！ねぇ？」
「あ、はい…。」
真「ならいいけど…。A、これ私のお兄ちゃん。」
「え！？」
辰「あ、君がAちゃんか！真子から時々話聞いてるよ〜。深澤辰哉です。真子のお兄ちゃんです。よろしくね？」
「よ、よろしくお願いします。」
辰「んふふ、Aちゃんかぁいいね？真子に聞いてた通りだ。」
真「ちょっと辰にぃ！Aに変なことしないでよ！？」
真子はなんかちょっと怒ってるみたいだったけど、私は深澤先輩から放たれたかぁいいねの一言で思考が停止してしまっていた。
これが、私と深澤先輩の出会い。
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作者名：柊李 | 作成日時：2023年2月13日 22時
