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怒気 ここ。 ページ43



嗚呼、やはり初には何を言っても通じないか。俺は怒気を含んだ溜め息を吐き、
空腹を訴える腹に舌打ちをして乱暴に机を叩き付けた。ばん、威圧的な音を
立てる机には目も向けずに、俺は先程入ったばかりの自室から出た。

四個目のプリンを食べている最中に初が来たが為に、食べ終わっているプリンは
愚か食べていないプリンすら忘れて臨時避難する為に自室に逃げ込んだので、
まだ空腹だ。それに甘味があまり好きでは無い事、また好きでも無いプリンを
四個も食べた為、味的にも飽きて来た。まともな料理でも食べようか。

そう思い、俺はキッチンに向かう。そこでは放置されているプリンを
見兼ねてか、卓上に置いておいたプリンを片付けている篝と、いとの姿があった。

「あ、キャリーさん…!」

「キャリー…?ああ、キャリーちゃ…ううん、キャリー君!このプリン、
もしかしてキャリー…君が食べてた?」

いとは元々俺をさん付けしていた為、さん付けを男性にしていていても
おかしくはないだろう、と思いつつも女性扱いは控えるように教えた。
篝も同様だ。比較的常識人枠であるいとと篝は、理由を述べずとも
その教えを守るように約束し、もうその約束を守ろうと奮闘しているようだった。

内心感謝を述べながら、俺は篝の質問に答える。

「嗚呼…悪い、篝、いと。後は俺が片付ける。」

そう述べれば、篝は良いよ良いよ、とプリンを冷蔵庫に入れた。いともそれに
倣うようにプリンを冷蔵庫に入れ、冷蔵庫を閉めた。窒息的な音を立て、
冷蔵庫は戸を閉めた。それを合図にしたかのように、篝は水道の蛇口を捻ると
勢いよく出た水を抑え込むように蛇口を緩く締めながら、こちらを見る。
その目は全てを見透かすようで、俺は気分が悪くなり、相手に悟られないよう
目線を篝から逸らした。

「それよりもあんなにプリン出してるなんて、何か事情があるんでしょ?
それに偏見で悪いけど、キャリー君甘い物好きそうじゃないし。お腹でも
空いてるんなら、私が何か作るけど?」

前言撤回。本当に見透かされてしまった。俺は腹の音が鳴らないように
願いながら、その言葉に肯定する。

「ああ…じゃあ、和食でも食おうかな。」

そう言って、手伝おうかと思ったが、腹の音が鳴った場合に近距離に居て
聞かれるのも恥ずかしいと、俺は偉そうにソファーに足を組んで座った。

失礼だとも思ったが、篝の全てを見透かすような優しげな目を見て、
きっと大丈夫だと目を伏せた。

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鈴ちゃん♪(プロフ) - そうでしたか、無礼なコメント、申しわけございませんでした! (2019年10月7日 18時) (レス) id: e69227227d (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - 鈴ちゃん♪さん» 更新しますよ!ですが私は少し忙しいので遅れます……! (2019年10月7日 7時) (レス) id: 59631e9c92 (このIDを非表示/違反報告)
鈴ちゃん♪(プロフ) - 皆さまに質問です。続編が出ましたが更新はもうしないのですか? (2019年10月7日 3時) (レス) id: e69227227d (このIDを非表示/違反報告)
ここ。(プロフ) - 更新しました!報告忘れていてすみません。フォントもベーシックに戻しました! (2019年9月28日 22時) (レス) id: 8956dbb137 (このIDを非表示/違反報告)
ここ。(プロフ) - 更新しますね! (2019年9月28日 11時) (レス) id: 8956dbb137 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:グランディ x他8人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年8月2日 16時

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