困惑 ここ。 ページ31
，
そうして伊織の自室から出た俺は、依頼も確認しなければ、と廊下を歩き、
辺りを見渡す。どうやら各々の自室には名前が英語で小さく書かれた
プレートが掲げられているようだ。俺は「Carry Maysun」と書かれた
プレートの掲げられた部屋に入ろう＿とした。側で微かに感じられた気配。
まあこの家に居るという事は同業者なのだろう。そうならばこの気配の
薄さにも頷ける。だが一応、と俺は振り返り、後ろに向かって声を掛ける。
「おい。そこに誰か居るのか？」
その声に、初とかいう少女が廊下に置かれていた物の背後からおずおずと出て来た。
そこで俺は違和感を覚える。
「…おい、初。」
「はっ、はい？」
「その服…ハニートラップでもしに行くのか？さっきはフリルの服だろう？
篝とかにでも借りたのか？」
そこにはエレガントな雰囲気の藤色のワンピースを纏っている初。
髪型もどこか高貴な雰囲気だ。雰囲気的にこのような服を初は
持っていないだろうし、俺が今知る暗殺者の中で持っていそうな者といえば、
篝位しか居ないだろう。それは当たりだったようで、初は笑顔を浮かべた。
「はい！ハニトラもしに行くのですが…ハニトラは不慣れで…」
その笑顔も一変、初はどこか叱られた子犬のようなシュンとした表情になった。
なるほど…確かに俺の髪が長かった時期、自分でも気色が悪いと思う声で
ハニートラップをしに行ったな…そう染み染みと思いつつも、経験者として
アドバイスでもしてやろう、と初にはそこで待つように言い、俺は自室の中に
入り持って来ていた衣装専用のトランクを開ける。そこにはハニートラップ用の
ロリータ系統の女子が好きな者へのハニートラップ用のフリルドレスや
典型的なバニーガール衣装などが所狭しと入れられていた。俺は初の衣装から
エレガント系統だろうと判断し、フェミニンを中心にエレガントな衣装を
抜き出し、初に突き出した。
「貸してやるよ。お前のターゲット、その衣装からしてエレガントな奴
好きなんだろ？それとエレガントが好きな奴は言葉遣いにも厳しいからな。
だわ、とかいう口調でも学んでおけよ。」
「は、はい！」
すぐに返しますね、と述べる初に振り返り、俺はクローゼットに衣装を
掛けたりしよう、と扉を開ける。
「…まあ、頑張れよ。」
そう言い、俺は重力に任せて閉じた扉を眺めながら置かれていたベッドに沈んで行った。
「…あれがツンデレというやつですかね。」
そう呟かれていたとは知らずに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴ちゃん♪(プロフ) - そうでしたか、無礼なコメント、申しわけございませんでした！ (2019年10月7日 18時) (
レス) id: e69227227d (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - 鈴ちゃん♪さん» 更新しますよ！ですが私は少し忙しいので遅れます……！ (2019年10月7日 7時) (レス) id: 59631e9c92 (このIDを非表示/違反報告)
鈴ちゃん♪(プロフ) - 皆さまに質問です。続編が出ましたが更新はもうしないのですか？ (2019年10月7日 3時) (レス) id: e69227227d (このIDを非表示/違反報告)
ここ。(プロフ) - 更新しました！報告忘れていてすみません。フォントもベーシックに戻しました！ (2019年9月28日 22時) (レス) id: 8956dbb137 (このIDを非表示/違反報告)
ここ。(プロフ) - 更新しますね！ (2019年9月28日 11時) (レス) id: 8956dbb137 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
