作者達が迷い込む町４【小説】 (ページ43)

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友達だから水無月カエデページ43

「多分今雫は、

なんで2人は追いかけてくるのかって疑問なはズ！

今かラその答え合わせをしよウ！

私たちが追いかける理由は～～～

静が大好きだからサ！」

雫はぱちくりと目を見開いた。

「随分丁寧な嘘つくんだね。

だけど心のどっかじゃーーーー」

すると、あさひが口火を切った。

「こいつは、誰よりも

バカでアホで大法螺吹きの糞狸。

だけどーーーーー」

あさひは笑顔で言った。

「友達(雫さん)を裏切るような真似は、

絶対しない」

雫は言葉を失った。

「え？」

「私一時期、前に仲良かった子達から

裏切られた事がありまして。

誰も味方がいなかったんですよ。

だけど、こいつだけは、
バカみたいに「俺に任せろ！」とか言って、
ずーっと側にいてくれてたんです。
自分がいじめられるのも構わずに。
その後、何とこいつ、
そいつら改心させちゃったんですよ。
純度100パーセントの嘘偽りで。
すごく無いですか？」

雫は、黙ってその話を聞いていた。

すると、今まで居心地悪そうにしていた彼方が、

「もウ！これ以上褒めるのはやめてくださイ！

体が痒くなル！」

と、ぷんすか怒り出した。

だが、数秒経つと、急に大人しくなり、

小さい声でこう言った。

「………えと、だって、

し、しず、雫と、あさひは、

わた、私、の、

友達、だから!」

その声は、酷く弱くて、でも優しい、そんな声だった。

いつもの彼方の声は、鳥みたいにやかましいけど、

絶対的な安心感を得られる声。

意外過ぎる彼方の側面に、雫はつい苦笑がこぼれた。

彼方は、それを見て慌てて

「あ、ごめんごめーン☆
ちょこっと本音が零れちっター☆」
と繕った。しかし二人は、

「意外にも、可愛かったです。」

「そっちの方がいいと思う。」

と言った。

彼方はショックを受けたのか、

数秒かちんこちんに固まっていたが、

やがて元に戻ると、
先程のおどおどした表情で

「……えと、じゃ、じゃあ、これ、で、いいの？」

と二人に聞いた。

「………まあ、たまにでいいよ。

お前の虚言癖は、

何だかんだで人を幸せにするからな。。」

雫はぼそっとそう呟き、帰る準備を始めた。

「およ？帰るのカ！僕も一緒に！」

「あーはいはい。わかりました。」

「私もご一緒していいですか？」

「あさひさんは是非に」

「何この格差！雫酷い！」

三人の夜は、未だ長い。