紅茶と彼方とカスと 水霜 雫 ページ35
街角の小さな喫茶店。
私と彼方はそこで紅茶を飲んでいた。
私がピーチ、彼がレモンだ。
「はい!雫オネーサン!」
「同い年のはずだろ」
紅茶屋で叫ぶ常識の無い人間が自分の幼馴染なんて嫌で嫌で仕方がない。
だけど彼方を見捨てることが何故か出来ないのだ。
不思議な腐れ縁というやつだろう。
「雫、そういえばサ」
「何?」
彼方がお代わりしたドーナツを頬張りながら言う。
私は口にカスが付くことを察してタオルを差し出した。彼方は笑ってそれを受け取る。
「ありがト。
それと、雫はこの世界で何かしたいのカ?」
「何かって?」
「この世界では何かしても自由なんだゾ。モンスター倒したりお店を開いたりしないのカ?」
そういえばあまり考えていなかった。
この世界は何をしても自由なのは知っていたが、いざ自由と言われると何も浮かばない。
その前に私は何をして生きてきたのか。
今までも随分自由な生活をしていたはずだろう。
「あんまり興味ないな」
「そうなのカ!僕もないなァ〜」
「....そう」
彼方は私に被害が及ばぬように自分を犠牲にし、
何回も警察のお世話になってるのに。
私は今まで向こうの現実世界で何をしていたのか。
ゲームをしてただけ?彼方を突き放してただけ?
「紅茶美味しい...」
「そうだロ!なんたって僕が淹れたんだかラ!」
「そうか。将来バリスタにでもなれば?
ってそんなわけないじゃん」
「雫のノリツッコミはさすがだナ!」
彼方は給仕さんに何杯目かのお代わりを貰った。
笑顔で笑う彼方の口には
やっぱりドーナツのカスが付いていた。
招かれざる客と大嘘吐き 水無月カエデ→←紅茶の美味しい喫茶店にて。 水無月カエデ
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Mashiro Lio(プロフ) - 終わりました! (2019年8月25日 13時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 更新……というか軽く修正します (2019年8月25日 12時) (レス) id: 6bdf3daa52 (このIDを非表示/違反報告)
MILK(プロフ) - あ、お話いっぱいです!移行お願いします! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 4af98e85a9 (このIDを非表示/違反報告)
MILK(プロフ) - 更新します! (2019年8月7日 17時) (レス) id: 4af98e85a9 (このIDを非表示/違反報告)
月見里あさひ(プロフ) - こうしんしました。 (2019年8月7日 16時) (レス) id: 63500bc6f8 (このIDを非表示/違反報告)
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