1話 ページ2
.
雄英高校に入学してから私たちは多くのことを経験した
全てが良いことだったわけではない
敵連合の襲撃 神野の悪夢
そして敵連合改め超常解放戦線との最終決戦
幸か不幸か私はその全ての事件において最前線に立ち会っていた
大切なものを守りきれなかったことも自分の手が届かないことも数えきれないほどあった
希望を打ち砕かれるような絶望
殴っても叫んでも届かない光
苦しい事の方が圧倒的に多かったであろう私の高校生活も今日で終わり
そう 今日は雄英高校卒業式
私たちがヒーローへと一歩を踏み出す日だ
3年間過ごしたハイツ アライアンスも今日で別れを告げなければならない
雄英高校が全寮制にした時 私は実家を売り払った為帰る家がない
故にしばらくの間は就職先であるミルコ事務所に居候させていただくことになっている
「おーい月躬弖！早く行くぞ！！」
いつもと同じように上鳴くん切島くん瀬呂くん爆豪くん そして私の5人で登校する
こんな当たり前だった日常も今日で最後だ
この一歩を踏み出してしまえば皆とは離れ離れにならなければならない
私の帰る場所であった皆という居場所がなくなってしまう
昨日まで悲しくなんてなかったのに今になって足が震えた
私はまだ寮の玄関から足を踏み出せずにいた
後ろから登校しようと次々に皆が現れる
私が進まないから皆がつまってしまっていることは分かっているけど勇気が出なかった
「どしたんAちゃん お腹痛い？」
「ううん」
お茶子ちゃんが動かない私を心配するように覗き込む
フワッと揺れるお茶子ちゃんの髪も入学した3年前より伸びていて時間の流れを実感させられた
「…卒業したくないなぁ」
最後だから素直になってもいいだろう
私は皆の前で本音を漏らした
ヒーローを目指し続け3年間過ごしてやっとヒーローになれるっていうのに私はいつまでウジウジしているのだろうか
きっと皆も呆れているだろうな
そう思いながらゆっくり顔を上げると瞳に涙を浮かべた皆が抱きついてきた
「お前が言うと泣いちまうだろぉ！！！」
「私も卒業したくないよー！！」
「うわぁぁぁあん！！！！」
どうやら｢卒業したくない｣と思っていたのは私だけではなかったようだ
私が口にしてしまったから皆 堰を切ったように泣き出してしまう
まだ卒業式でもないというのに寮の前で私たちは声を上げて泣いていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
犬井(プロフ) - 臨時教師…この展開私の好物です((やめろ これからも、まったりでいいのでマイペースに更新頑張ってください(´･ー･`)ﾌﾌﾝ (2020年3月5日 12時) (
レス) id: a30ea6f0a7 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです これからも、頑張って続けて下さい 応援しています(#^.^#) (2020年3月3日 16時) (レス) id: 1fbc4252fc (このIDを非表示/違反報告)
(´???｀) ぬん(プロフ) - 心の底から言います.......爆豪とくっついて.....あっこの作品大好きです (2020年3月1日 23時) (レス) id: 3a7d3d0190 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 永久さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2020年3月1日 13時) (レス) id: 6634cf480d (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - Leoさん» 前作から引き続きご愛読していただきありがとうございます！彼女の思いが伝わったようで嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2020年3月1日 13時) (レス) id: 6634cf480d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年2月26日 19時
