36話 ページ37
.
ポロポロと涙を流す咲乃を見てやっぱりこの子は一人に出来ないなと思った
とりあえず中に連れてって残っていたパイプ椅子に座らせる
「本当にやめちゃうんですか？」
「うん」
「ヒーローは？」
「フリーで活動するつもり」
私の手を取って泣きながら話す咲乃は数日前の私と重なって見えた
ミルコさんもこんな気持ちだったんだ
わたしを離さないようにぎゅっと手を握る咲乃は本当に私のことを信頼してくれている
他のサイドキックや事務員とは違う
「いつになるか分からないけど私 爆心地の事務所に入るの
私の他にも烈怒頼雄斗とチャージズマとセロファンも入る予定」
「だから事務所を解体するんですか」
「そう」
咲乃は驚く素振りも見せない
まるで前々から知っていたようにさえも見えてしまう
私のことをよく見ている彼女なら予想していたのかもしれない
「そこに一緒に来てほしい」
「え…」
「私をマネジメントできる人なんか咲乃しかいないから」
「私も連れて行ってくれるんですか…？」
「もちろん」
ありえないという顔をして大粒の涙を流す
泣いているけどさっきとは違って嬉しそうに泣く咲乃を抱きしめた
腕の中で嗚咽を漏らしながら泣く彼女の頭を優しく撫でる
＿＿＿＿ たった一度救っただけ
ショッピングモール立てこもり事件に出動要請が出たのが偶然ミルコ事務所でそこに偶然私もいたというだけ
それだけのことなのに咲乃はずっと私を追いかけてきてくれた
体育祭や文化祭にも来てくれたし寮に手紙を送ってくれたりした
この2年間支えてきてくれたのは咲乃だ
そんな彼女を手放すほどの私には勇気はない
.
しばらくすると落ち着いたようで鼻をすすりながらメイク直しをする咲乃
と そんな咲乃を眺める私
前にあげたアイシャドウを大切にしすぎて底見えしてるのにまだ使ってくれている
今度新しいのプレゼントしよう
「ここが無くなったらAちゃんはどこに寝泊まりするんですか？」
「爆心地の家に住む」
「あれ？耳おかしくなったかもしれない」
「正しいリアクションありがとう」
信じらないものを見るかのように私を見る咲乃
分かる 私も自分の行動に呆れている
「付き合ってましたっけ？」
「友達以上恋人未満」
「それアウトじゃないですか？」
「レッドカード3枚で退場寸前」
ケラケラと笑いながら答えればなんだかんだ咲乃も笑ってくれた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
犬井(プロフ) - 臨時教師…この展開私の好物です((やめろ これからも、まったりでいいのでマイペースに更新頑張ってください(´･ー･`)ﾌﾌﾝ (2020年3月5日 12時) (
レス) id: a30ea6f0a7 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜(プロフ) - めっちゃくちゃ面白いです これからも、頑張って続けて下さい 応援しています(#^.^#) (2020年3月3日 16時) (レス) id: 1fbc4252fc (このIDを非表示/違反報告)
(´???｀) ぬん(プロフ) - 心の底から言います.......爆豪とくっついて.....あっこの作品大好きです (2020年3月1日 23時) (レス) id: 3a7d3d0190 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 永久さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2020年3月1日 13時) (レス) id: 6634cf480d (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - Leoさん» 前作から引き続きご愛読していただきありがとうございます！彼女の思いが伝わったようで嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2020年3月1日 13時) (レス) id: 6634cf480d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年2月26日 19時
