青の彼岸花【鬼滅の刃】

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随分不思議なことを言うのね





Aさんはそう言って私たちの前に立った






『鬼は何故殺されなきゃならないの？



人間を食べるのが悪いのかしら？



無惨様に従っているのが悪いの？



私たちだって元は人間



貴方たちと同じ存在だったの



もし人間を食べるから、襲うから殺されなきゃいけないのであれば



それって不公平すぎるんじゃない？』






＿＿＿ 彼女の言葉に私たちは言い返すことが出来ない






『貴方たちだって生きていくために命を奪っているでしょう？


豚やら鶏やら植物やら…


別にそれを否定してるわけじゃない


けれどそれは許されるのに


私たち鬼は何故許されないの？


何故 生きていたらいけないの？


誰がそう決めたの？


一人の鬼が貴方たちの大切な人を奪ったからといって


何故私まで殺されないとなの？


人を食べない鬼は善良で


人を食べる鬼は悪の根源なの？


それなら多くの命を奪う人間は


私たちより悪の塊なんじゃないの？


私たち鬼は人間より少ない


生きるために奪ってきた命だって


人間の方が遥かに多いじゃない







それでも私たちは生きることさえも許してもらえないのは？』









彼女の言葉はあまりにも重すぎた



考えたことすらなかった



鬼は悪で人間が正



いつからかそう思って刀を振っていた



大切な人を奪うのはすべて鬼



何がなんでも許さない



そう思っていた



両親だって姉さんだって



みんな 鬼のせいで失った






その思いは…


その憎悪は今も胸の奥にあるのに彼女に言い返すことができない







『私は…幸せになることも許されないの？生きることも笑うことも存在することさえも悪いことなの？』






私たちに問いかける彼女の瞳はとても揺らいでいた


彼女を一言で表すのであれば「不安定」という言葉がぴったりだろう





穏やかな性格なのかと思ったら 手の内ようがないほど難儀な血鬼術を使い 私たちに答えを求めてくる






「許されません」





私は静寂を裂くように答える




「いかなる理由があろうとも貴方たち鬼は生きることも笑うことも許されません


そこに平等も不平等もないのです


鬼は悪 人間が正


これは変わることない事実です」





私の答えにAさんは寂しそうな悲しそうな消えてしまいそうな表情をしました

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