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しのぶside
「殺せるといいね
___________童磨を」
そう言って消え去った彼女は自分のことではないはずなのに今にも死んでしまいそうな顔をしていました
それは私に同情してのことなのか 同僚である鬼の命を惜しんでの表情なのかは分かりません
ただ私が殺すべき相手は分かりました
ついさっきまで目の前にいたヘラヘラした鬼が私の姉を殺した憎き鬼
私の全てを奪った相手
童磨と呼ばれた鬼の瞳には上弦の弐と書かれており実力のある鬼だということが嫌という程分かりました
命の危機を乗り越えた真澄さんは未だ放心状態でAさんがいなくなった場所を見つめていました
「真澄さん 大丈夫ですか?」
私の言葉にハッとしたようにこちらを振り向く真澄さんの瞳には安堵と不安が入り交じったようでした
Aさんの放つ言葉のひとつひとつはとても重たく心臓を握られているように感じました
鬼の次期当主という立場にあるAさんからは鬼舞辻無惨とは違う圧があり まるで蛇に睨まれた蛙のような気分でした
『勝てない』
そう頭の中に文字が浮かんでくるほど彼女からは圧を感じました
それから柱合会議は途中でしたが中止となり蝶屋敷に真澄さんと共に帰ってきました
未だ真澄さんは一言も話すことはなくどこか遠くを見つめているようでした
無理してまで話す必要はないと思い 彼女が話しかけてくれるまで待つことにしました
「…っ!!しのぶ様!藤澤様!!
おかえりなさいませ!!!」
屋敷の門に着くとアオイが気づいてくれたようで出迎えてくれました
アオイも真澄さんの違和感に気づいたようですが察しのいい彼女は気づいてないように振舞ってくれました
夜も深くなり見事な満月が明るく庭を照らす縁側に真澄は腰をかけていました
「…遠い」
そう言って空に手を伸ばす彼女はAさんに似ているようで似ていなくて不思議に思いました
真澄さんはまだ私に気づいていないようで じっと月を見つめています
「何が遠いのですか?」
問いかければ こちらに気がついたようでゆったりとした動作で私を見る真澄さん
些細な動作でさえもAさんに似てます
「私の行動は正解だったのでしょうか」
「…」
彼女の言葉に私は答えられませんでした
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (2月3日 22時) (レス) @page44 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - どうして完結なんや…() (11月20日 5時) (レス) @page44 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
こいちご。 - ちょっとあまりにも私と解釈一致すぎて泣いてます (2022年12月14日 0時) (レス) @page9 id: 72d95f658b (このIDを非表示/違反報告)
⭐️穂乃果⭐️ - 面白すぎて大草原www (2022年3月6日 10時) (レス) @page15 id: 1b52ef822c (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 続きがとても気になります…! (2021年9月29日 20時) (レス) @page44 id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばぐ | 作成日時:2019年12月19日 17時