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夢を見た
酷く恐ろしい夢
私の傍らで両親が真っ赤に染まっている
見ただけで分かる
心の音は止まっている
私の前には黒い隊服を着た集団がいた
悪鬼滅殺と文字が入った刀を持つ人間
けれど私の頸に刀を当てることはせず
ただ手を引いてどこかへ連れていかれる
両親の遺体は消えてなくなった
鬼だから当たり前だけど
人間に手を引かれ歩く私は
ふと水溜まりに映った自分を見る
そこにいる私は母によく似た硝子のような瞳をしておらず 朱色に染まっている
牙は生えていないし爪も伸びていない
ただ瞳だけ 変わってしまっている
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はっと目が覚めると私は自身の部屋にいました
すっかり眠ってしまっていたようです
八年ぶりに眠りにつきました
無惨様の後継者と認められたあと 無惨様の血を大量に摂取した為 対応するための体力が底をついてしまったのでしょう
それよりも先程見た何とも現実味のある夢のせいで冷や汗が止まりません
柄にもなく心拍数も上がっています
鏡を除けば夢で見たような私はおらず いつも通りの瞳をしています
「A 入りますよ」
お母様が私の元を訪ねてくださったよう
障子にはお母様だけでなくお父様の影も映っています
私のことを心配してわざわざ来てくださりました
やはりあれは悪い夢
両親ともに健在しており私の瞳も変わっていません
久しぶりに眠ったのが良くなかったのでしょう
お父様が林檎を持ってきてくださったので三人でゆっくり話しながら食べました
それから両親は私の無事を確認すると無惨様に任されている仕事があると言って部屋に戻っていきました
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猗窩座side
朱雀院Aが
いやA様が後継者に任命された
前々から知ってはいたもののいざ後継者となると心做しか距離を感じてしまう
A様に出会ったのは八年前だった
あの方に特別扱いされる新しい鬼がいると聞いて少し興味が湧いた
さぞ実力の高い鬼なのだろうと思い心を躍らせていた
「初めまして 朱雀院Aと申します」
ぺこりと頭を下げる仕草はとても綺麗で人間の時は身分の高い人間だったのだろう
そう瞬時に理解することが出来た
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (2月3日 22時) (レス) @page44 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - どうして完結なんや…() (11月20日 5時) (レス) @page44 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
こいちご。 - ちょっとあまりにも私と解釈一致すぎて泣いてます (2022年12月14日 0時) (レス) @page9 id: 72d95f658b (このIDを非表示/違反報告)
⭐️穂乃果⭐️ - 面白すぎて大草原www (2022年3月6日 10時) (レス) @page15 id: 1b52ef822c (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 続きがとても気になります…! (2021年9月29日 20時) (レス) @page44 id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばぐ | 作成日時:2019年12月19日 17時