･ ページ28
．
気がついたら蝶屋敷の前
あまりに突然のことだったから服装はA様から頂いたものを着ているし荷物だって何も持っていない
私は弓矢隊だったし日輪刀はとうの昔に手放した
どうしたらよいか分からず蝶屋敷の前でワタワタしていると突如 門が開いた
「どうしましたか…
って！貴方っ！！！！！」
門を開けてくれた彼女はアオイさん
何度か蝶屋敷を訪れたことがあったから彼女のことは一方的に知っている関係
アオイさんは私を見て大きな声を上げたかと思うと私の手を引いて中へ入っていく
「あ、あの…！」
「どこか怪我はありませんか？」
「あ、ない…です…」
「貴方は藤澤真澄さんですよね」
歩きながら私に怪我はないか聞いてくれたアオイさんは私が藤澤真澄であることを知っていた
なんで知っているのか疑問に思った
けれど私は鬼に連れ去られた人間
鬼殺隊に関わる人なら私の名前は知っていてもおかしくないのだろう
＿＿ 記憶を喪失しているフリをしなさい
A様に言われたことを思い出した
私は隠さなければならない
記憶を失ってしまっているように演技をしていかなければならない
「…… 分かりません」
「それはどういう意味ですか？」
私の返答にアオイさんは不思議そうに顔をしかめる
「私が誰なのかも ここが何処なのかも
何も分からないんです」
アオイさんは大きく目を見開いたあと 小さくため息をついて そうですか、と答えた
未だ手を引かれて歩き続ける私は久しぶりに見る蝶屋敷の景色をゆったりと見渡す
自分でしておきながらこの動作もA様の動作が写ってしまったんだと実感した
こちらで待っていてください、と言われ縁側に腰をかける
A様に連れ去られてからも街には出掛けたからそこまで特別な感情はしない
けれど蝶屋敷はあまり変わっていないようでそれがどこか嬉しく感じた
「お久しぶりです 真澄さん」
A様とはまた違う 少し高めの声の持ち主は蟲柱である胡蝶しのぶ様だ
アオイさんが呼んできてくれたのだろう
「は、はじめまして」
「私たちは初めましてじゃないですよ」
「そう…ですか…」
「アオイの言う通り記憶を失ってしまっているようですね」
どうやら上手く誤魔化せたらしい
これから全ての人に嘘をつかなければならないと思うと憂鬱な気持ちになった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2300人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (2月3日 22時) (
レス) @page44 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - どうして完結なんや…（） (11月20日 5時) (レス) @page44 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
こいちご。 - ちょっとあまりにも私と解釈一致すぎて泣いてます (2022年12月14日 0時) (レス) @page9 id: 72d95f658b (このIDを非表示/違反報告)
⭐️穂乃果⭐️ - 面白すぎて大草原www (2022年3月6日 10時) (レス) @page15 id: 1b52ef822c (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 続きがとても気になります…！ (2021年9月29日 20時) (レス) @page44 id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばぐ
| 作成日時：2019年12月19日 17時
