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一人先を歩く二宮を犬飼たちは追いかけた
瀬鳴のタイムアタックが終わるまであと一分というところで二宮は席をたちギャラリーを去ったのだ
何も言わず立ち去る二宮に犬飼たちは動揺した
元から言葉が多い人ではないがこれほどではなかった
「二宮さん!どこ行くんですか!」
「瀬鳴ちゃんのタイムアタック終わっちゃいますよ!」
そう声を掛けるとようやく二宮は足を止めた
慌てて追いかけたせいで周りの視線が集まる
このまま廊下で立ち話をするわけにもいかない
とりあえず瀬鳴を迎えに行くためにギャラリーに戻ろうと犬飼が提案しようとした時 二宮が言った
「今期のランク戦を終えたら瀬鳴を部隊から脱退させる」
あまりにもストレートすぎる言葉に三人は息を飲んだ
けれど何も言えなかった
三人も薄々気付いていたのだ
瀬鳴は確実に腕を磨いている 成長している
ブレードタイプのトリガーを握ってまだ数ヶ月しか経っていないのにここまで仕上がっているのだから言うまでもない
いわゆる才能というやつだ
トリオンも多くサイドエフェクトにも恵まれている彼女なら迅の引継ぎとしてS級隊員になったとしても上手くやっていけるだろう
だって鳩原の引継ぎとして入ってきた二宮隊であんなに貢献してきたのだから
どこに行ったって瀬鳴ならできる
その才能を二宮隊に留めておくのはボーダー全体で考えると勿体ないことなのではないか
「俺は嫌ですよ」
「私も嫌です」
「…お、俺も」
三人の言葉に思わず二宮は振り返った
賢い彼らなら気付いている
二宮が考えたように瀬鳴をこの部隊から脱退させるべきだということを
「だけど…!」
振り返った二宮と目を合わせた犬飼は告げた
ここまで真っ直ぐに二宮に発言できる人間は少ない
ゆえにあの二宮も僅かにたじろいだ
「それを決めるのは二宮さんと瀬鳴ちゃんです」
隊員が部隊を脱退する際何かしらの理由がありその理由に応じて部隊で話し合いをする
学生が主体となる組織において成績不振や保護者の反対など脱退理由は多く存在する
しかし今回は特例
過去にS級昇格を理由に部隊を脱退したのは迅だけ
その迅も部隊は脱退したものの玉狛支部として元部隊仲間と共に時間を過ごすことが多く実際は部隊の一員と言っても過言ではなかった
けれども瀬鳴は違う
本部所属隊員は多く存在し二宮隊を脱退するとなれば距離ができてしまうことは避けられない
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弓月有無%(プロフ) - コメント失礼致します!!続編もおめでとう御座います。1から拝読させて頂いてる身としても夢主掴み所無くて、色々吃驚させられました!段々と心情がわかって来てストーリー迚も楽しく面白かったです、無理のない程度に頑張って下さい、応援しております! (4月28日 21時) (レス) @page30 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - とても面白かったです。普段明るい夢主ちゃんの闇が少し出てきてわくわくしてたら終わっちゃってて悔しいです、、。 (3月18日 19時) (レス) @page30 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず七味(プロフ) - とっても面白いです!主人公ちゃんの性格とか周りのキャラたちとの会話とか読んでて楽しいです🙋更新楽しみにしてます! (6月26日 20時) (レス) @page30 id: 472c7aa5ca (このIDを非表示/違反報告)
優 - すごく面白くて一気読みしました。主人公どうなるのか気になります。更新大変かと思いますが楽しみに待ってます。 (2023年3月26日 22時) (レス) @page30 id: 2253326350 (このIDを非表示/違反報告)
honoka?*゚(プロフ) - 続きめっちゃ気になります(っ´✪ω✪。`c) (2022年11月1日 1時) (レス) @page25 id: 894349be12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばぐ | 作成日時:2021年12月19日 14時