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瀬鳴の声を聞いたとき三雲は安心した
切羽詰まったこの状況で自分に手を差し伸べてくれる人が現れたのだ
泣かずによく耐えたものだ
このまま一緒に本部に向かえる
そう思っていたというのに瀬鳴は自分と共に行動してくれないらしい
また不安が襲ってきた
自分一人でこの状況をどうにかできる自信なんて正直ない
「安心してよ 大丈夫だから」
けれどもそんなことを言われてしまっては泣きつくこともできない
元より泣きつくつもりなんて微塵もない
瀬鳴の強さは知っている
あんなに硬くて強力なラービットを一撃で撃ち壊す瞬間を目の前で見た
それに玉狛支部の先輩たちから彼女のことは少しではあるが聞いたことがある
雨取が入隊するまでは瀬鳴がボーダートップのトリオン量を誇る隊員だったのだと
三雲はキューブを抱えて走り出した
目指す先は勿論ボーダー本部基地
先程までは隠れながら進んでいたせいで時間がかかっていた距離も瀬鳴がカバーしているおかげであっという間に進める
背後から聞こえる重音
恐らく瀬鳴がアイビスを放ったのだろう
「瀬鳴先輩のおかげで到着できそうだ!」
「ジンが信頼しているだけある」
そんな話をしていると真横の住宅が何者かによって破壊された
瓦礫が吹き飛び頬を掠める
腕の隙間から様子を伺うとそこには別の近界民がこちらを見ていた
目が合いターゲット捕捉されてしまったのだと本能的に察した
「しまった……!」
アステロイドを放とうと構えるもトリオンの残量が少ない
これでは何の攻撃にもならない
完全に道を塞がれてしまい走り抜けることさえもできない
八方塞がりの状況に頭をかかえたその時インカムから瀬鳴の声が聞こえた
[三雲くん退いて!]
言われるがまま右に三歩退いた瞬間目の前を弾丸が通り抜けた
はっと息を飲む頃には弾丸は近界民に直撃し粉々に破壊された残骸が弾け飛んだ
弾丸が飛んできた先を見ると30mほど奥にある住宅街でアイビスを構える瀬鳴がいた
しかも彼女は屋上から撃ったのではない
彼女ならわざわざ高所からでなくとも狙撃は容易くできてしまう
[ほら走って!本部までもう少しだよ!]
瀬鳴の言葉に再びはっとする
そうだ あと少しで本部に辿り着く
三雲は再度足を進めた
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あんず(プロフ) - 続編おめでとうございます!!ご自分のペースで構わないので、更新を続けて欲しいです!これからも応援してます! (2021年12月17日 19時) (レス) @page50 id: f3f41a7a80 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 夢主の解説が完全にニノだ…………!これ聞いてるニノもすごく頷いてそう。 (2021年12月14日 1時) (レス) @page42 id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ - 二宮隊かっこいいですよね!スーツ姿で弧月持ってるの本当に好きです!夢主ちゃんも末っ子感があって可愛いです!! (2021年10月17日 22時) (レス) @page40 id: 25eb3d3bd0 (このIDを非表示/違反報告)
ナカジマ(プロフ) - すごい次の展開が気になりドキドキしています!これからも応援しています!頑張ってください!! (2021年10月15日 12時) (レス) @page36 id: 94b7e990bf (このIDを非表示/違反報告)
男が苦手な辻 - ぎょえええ終わりですか…ストーリーもキャラ設定も二宮隊も大好きなだけに残念です… (2021年5月27日 2時) (レス) id: 43784786f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばぐ | 作成日時:2021年1月10日 19時