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ピザを食べ終えて残りのコーラを分け合いながら飲んでいるとき葛波が口を開いた




「3人に言っておきたいことがあるの」




先程までの和やかな雰囲気とは打って変わって真剣な表情を浮かべる葛波に3人は何かを感じた

持っていた紙コップを机に置いて彼らは葛波の方を向いた

すっかり忘れていたがあちこちボロボロな状態の彼女はかなり痛々しい

常日頃から「痛いのは嫌い」と断言している葛波がこうもしてまで戦う理由が彼らには理解できなかった




「もし私が死んだら書物庫にある葛波家相伝の巻物と資料を消してほしいの」




淡々とそう話す彼女に3人は驚いた

死んだらなんて話を彼女がすると思っていなかったからだ

同期の中では葛波が1番死を恐れている

自分が死ぬのも仲間が死ぬのも

だからこそ葛波は伝えたかった

再び言葉を続けようと口を開いたとき釘崎がそれを遮った




「そんなこと聞きたくないわ」

「お願い野薔薇 大事なことなの」

「分かってるわよ だから聞きたくないの
まるで遺言みたいじゃない」




そう言われて葛波は口を噤んだ

たしかに釘崎の言う通りだ

まるで遺言のような話を何故3人にしようと思ったのだろうかと自分でも疑問に思った

葛波はどうしても伝えたかったが言わないことにした

流石にここまで言われて続けられるほどイカれた人間ではない




「ごめんね 変な話して」




困ったように葛波は笑うと釘崎は彼女にそっと抱き着いた

釘崎の背中越しに見た虎杖の表情は少し固くて自分の発言が残酷なものだったと痛感した

ましてや処刑対象者の虎杖にとっては現実味を帯びていて尚更重かっただろう




「でも本当に大切な話なら
いつか…いつかちゃんと聞いてあげるわ」

「ありがとう」




釘崎らしいトゲのある言葉ではあるものの葛波を否定したかったわけではない

それを葛波は理解している

なんだかんだ言って受け入れてくれると分かっていたから甘えてしまうのだろう


そんなときコンコンと病室の扉をノックする音が聞こえた

音の先を見ると加茂が果物が入った大きなバケットを持って立っていた




「兄さん来てくれたんですね」

「あぁ 少し時間いいかい?」




敵意のなさそうな様子の加茂

葛波も心做しか嬉しそうに見える

それを見て空気を読んだ3人は病室を出ることにした

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raru58063503(プロフ) - このお話大好きで何回も読み返してます!! (2022年10月8日 23時) (レス) @page36 id: 95468c547b (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 伏黒とどうなっていくのか楽しみです!!引き込まれるようなお話でワクワクしました! (2022年2月6日 6時) (レス) id: 638dc06db7 (このIDを非表示/違反報告)
無量クーポン - ヤベェくそおもろい← (2022年1月20日 19時) (レス) @page17 id: f5549b5e83 (このIDを非表示/違反報告)
Sol(プロフ) - 何回も一気読みしました!!お話の続き楽しみにしてます (2022年1月8日 16時) (レス) @page35 id: 11f64c7a6d (このIDを非表示/違反報告)
小春日和 - この作品とても面白くて好きです。葛波ちゃんの誕生日がまさかの私と一緒で笑っちゃいました。 (2022年1月4日 11時) (レス) id: f0a1c41359 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ばぐ | 作成日時:2020年12月27日 17時

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