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伏黒の元を離れた葛波は実は彼らが交戦している隣の部屋にいた

転送したといっても動いた先は屏風1枚向こう側だったということだ


葛波は加茂の術式を見て思った

惺戒呪符が赤血操術から分岐したものなら加茂がした攻撃を自分もできるのではないか

そう思った葛波の行動は早かった

先程も述べたように惺戒呪符は応用し易い

元を辿れば呪符はあくまでも紙

故に物理的に形を変えやすい


狩衣の袖から数枚の呪符を取り出してクルクルと纏めて矢を作った

矢1本あたり5枚の呪符を使用する

幼い子がチラシで棒を作る時と同じ要領だ

ざっと20本ほど作り終えたとき加茂と伏黒の会話が聞こえて思わず手を止めた




「萌香は加茂家が養子として引き取る
つまり私の妹になる予定だ」

「葛波が…?」




自分が加茂家に養子入りするだなんて1度たりとも聞いたことがない

そもそも対戦していた彼が加茂家の人間だったということはさっき知ったばかり

葛波家の資料はある程度読んだので加茂家と自分が血縁関係にあることは知っていたがまさか自分が本家入りするだなんて考えたこともなかった


加茂家に養子入りしたら自分の処刑は取り出しになる

喜ぶべきなのかもしれないけどイマイチそういう感情は湧いてこない

知らないところで自分をネタに取り引きが行われていたのだから当然だ




「なんか複雑だなぁ…」




そう思いながらまた矢を作り始めた

葛波に兄弟はいない 生粋の一人っ子だ

兄弟がほしいと何度願ったことだろうか

だがこんなにも急に展開が進んでしまうと脳が追いつかないのだ


「ふむふむ」とひとり呟きながら矢の作成を続ける葛波はそれでもどこかで楽観的だった

加茂家に養子入りしたら彼が言っていたように加茂憲紀の妹になる

そうしたら彼をなんて呼ぶべきだろうか




「お兄ちゃん…はダメか……
…うーん…お兄様?兄上とか…?」




屏風1枚向こう側にいる伏黒は自分のことを思って覚悟を決めているだなんて葛波は知らない

基本的に葛波は何も知らない

自分の存在が呪術界にとってどんなに大きなモノなのかも

決して自分は弱くないということも


ざっと合わせて30本ほど矢を作り終えた葛波は部屋を出た

廊下に投げ捨てられた弓を拾う

それから弓を引いて矢を放った

標的は自分の兄となる加茂憲紀

その奥にいる伏黒と目が合った





「これ借りますね 兄さん(・・・)





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raru58063503(プロフ) - このお話大好きで何回も読み返してます!! (2022年10月8日 23時) (レス) @page36 id: 95468c547b (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 伏黒とどうなっていくのか楽しみです!!引き込まれるようなお話でワクワクしました! (2022年2月6日 6時) (レス) id: 638dc06db7 (このIDを非表示/違反報告)
無量クーポン - ヤベェくそおもろい← (2022年1月20日 19時) (レス) @page17 id: f5549b5e83 (このIDを非表示/違反報告)
Sol(プロフ) - 何回も一気読みしました!!お話の続き楽しみにしてます (2022年1月8日 16時) (レス) @page35 id: 11f64c7a6d (このIDを非表示/違反報告)
小春日和 - この作品とても面白くて好きです。葛波ちゃんの誕生日がまさかの私と一緒で笑っちゃいました。 (2022年1月4日 11時) (レス) id: f0a1c41359 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ばぐ | 作成日時:2020年12月27日 17時

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