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狩衣を脱いで小袖姿になった葛波は冷たいペットボトルを頬に当てた
ひんやりとした感覚に思わず目を細めた
伏黒は彼女の隣に腰を降ろして五条に連絡を入れることにした
メールを打ちながら口を開く
「五条先生がオマエのこと探してたぞ」
「…今先生に連絡をしてるの?」
少し声を低くして葛波は尋ねた
「あぁ」と肯定すると葛波は伏黒から彼のスマホを取り上げた
「やめて 先生には言わないで」
「…なんで?」
「理由言ったら連絡しないでくれる?」
「場合による」
伏黒の手を引いて葛波は立ち上がった
まるでさっきとは立場が逆転している
なんとなく空気を読んだ伏黒は黙ってついて行くことにした
向かった先は女子寮にある葛波の部屋
伏黒を招き入れた葛波は部屋の鍵を閉めた
生活感は一切ない
ベッドもあるだけで枕や掛布団もない
書物庫で生活をしているようで荷物はそちらにあるのだろう
伏黒は適当にベッドに腰掛けた
女子の部屋でベッドに座るという行為だけを聞けば勘違いされそうだがこの部屋を見たらそんな雰囲気など欠片も感じない
葛波は伏黒の隣に腰を下ろした
「勝手に取ってごめんね」
「あぁ それで理由っていうのは何なんだ」
スマホを受け取った伏黒は尋ねた
葛波は少し気まずそうにしたあとポケットから紙切れを取り出した
破ったられたその紙を合わせるように膝の上に並べる
その紙に書かれている内容を見て伏黒は目を見開いた
報告書と書かれたその紙にはよく知る名前が記されている
「私のお父さんとお母さん殺したの五条先生だったみたい」
「…オマエの両親って」
葛波の両親といえば一族を裏切り夏油と共に呪詛師になったことで知られている
両親のせいで彼女自身も命を狙われることになったわけだが彼らは1年前に亡くなった
去年起こった未曾有の呪術テロ その場に彼女の両親はいた
そして彼女の両親を殺したのは後に担任となる五条悟だったというわけだ
殺したと言うと聞こえは悪いが決して五条は間違ったことをしていない
彼女の両親は紛れもなく呪詛師だった
自分たちが作った呪符で一般人の命を奪いその体を悪用していた
殺されても仕方がない むしろ殺されて当然の存在だった
「それでも私にとっては大切な存在なの」
呪詛師だったとはいえ葛波からしたらかけがえのない両親だ
誰がなんて言おうとその事実は変わりない
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プスメラ - 初めまして、この小説は恋愛小説ですか?できれば五条悟オチにしたいです。お願いいたします。続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月22日 9時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - ひかるんさん» ひかるん様コメントありがとうございます!拙い語彙力で伝えられたと思うと嬉しいです!これからもご愛読よろしくお願いいたします! (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 海宙さん» 海宙様コメントありがとうございます!有難い言葉本当に嬉しいです!あ…見つかっちゃいましたか笑 やはり趣味が合うようですね笑 (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるん(プロフ) - 夢主の感情が伝わって泣いてしまいそうになりました。早く夢主に頼れる人ができるようになってほしいです。更新頑張ってください。 (2020年12月26日 22時) (レス) id: b91485c027 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - 他者との距離感や会話の仕方、距離の詰め方まで完璧すぎです。本当に本当に大好きです!これからも無理の無い更新頑張ってください!どうでも良いことなんですがこの前他作者様の作品にコメントをしようとしたらばぐさんが先にコメントしていて思わず笑いました!笑笑 (2020年12月26日 21時) (レス) id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばぐ | 作成日時:2020年12月11日 20時