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葛波はあてもなく駆け出してしまったせいで自分がどこにいるかも分からなくなってしまった
スマホは書物庫に置きっぱなし
誰かに連絡を取る手段もないし誰かに会っても何を話せばいいか分からない
自分の肩くらいの高さがある雑草を掻き分けて前に進む
蝉の鳴き声が頭上から聞こえてくる
すっかり夏になってしまったように感じる
虎杖が彼女の前を去ってから早1ヶ月が経とうをしていた
同級生である伏黒と釘崎や先輩の禪院たちとはすっかり打ち解けた
この界隈にも慣れ始めてきた
しかし時折感じる虚しさと寂しさを埋められるのは同郷の虎杖しかいないのかもしれない
虎杖の底なしの明るさがいかに大切なのかを葛波は嫌というほど実感していた
｢……あっつい｣
燦々と照りつける太陽の光
衣を重ねた狩衣を着ている葛波は他の人より確実に体温が高い
どうしてこんなにも真黒な制服なのかと嫌味を言いたくなった
歩き疲れた足を止める
手を顔の上にかざしながら空を見上げた
晴天に浮かぶ太陽は自分のことを監視しているかのように感じる
空に真っ直ぐ引かれた飛行機雲をぼんやりと眺めているとジャリッと誰かが走り抜ける音がした
誰だろうかとそちらに視線を向けると赤い何かが通り抜けて行った
雑草が高すぎて正確には見えなかったが葛波は瞬間で気付いた
誰も彼も黒い服ばかり着ているこの界隈で服装に赤を取り入れている人を彼女はひとりしか知らない
｢虎杖！ねえ待って！｣
音がした方へ葛波は駆け出した
段々と高くなっていく雑草を必死に両手で掻き分けて進むと少し舗装された道に出た
虎杖と思われる人が走っていった方へ向かうがもう姿はどこにもない
キョロキョロと辺りを見渡すも見つからない
息が上がったせいで肩は大きく上下する
誰も見つからないこの空間に自分の呼吸音と蝉の鳴き声が響いているように感じる
そんな時｢ワンッ｣という鳴き声が聞こえた
振り返ると黒い犬が葛波を見つめている
額に術式のようなものが刻まれている
恐る恐る近付くと犬もこちらに近付いた
軽く撫でてやると気持ちよさそうに目を細める犬を見て葛波は思い出した
｢葛波！｣
｢……伏黒｣
慌てた様子でやってきたのは同級生の伏黒
この犬は彼の式神である玉犬だ
伏黒はズンズンと葛波に近寄ると彼女の額に手を当てて顔を顰めた
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プスメラ - 初めまして、この小説は恋愛小説ですか？できれば五条悟オチにしたいです。お願いいたします。続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月22日 9時) (
レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - ひかるんさん» ひかるん様コメントありがとうございます！拙い語彙力で伝えられたと思うと嬉しいです！これからもご愛読よろしくお願いいたします！ (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 海宙さん» 海宙様コメントありがとうございます！有難い言葉本当に嬉しいです！あ…見つかっちゃいましたか笑 やはり趣味が合うようですね笑 (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるん(プロフ) - 夢主の感情が伝わって泣いてしまいそうになりました。早く夢主に頼れる人ができるようになってほしいです。更新頑張ってください。 (2020年12月26日 22時) (レス) id: b91485c027 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - 他者との距離感や会話の仕方、距離の詰め方まで完璧すぎです。本当に本当に大好きです！これからも無理の無い更新頑張ってください！どうでも良いことなんですがこの前他作者様の作品にコメントをしようとしたらばぐさんが先にコメントしていて思わず笑いました！笑笑 (2020年12月26日 21時) (レス) id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年12月11日 20時
