戦力外通告【呪術廻戦】

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記録 2018年7月
西東京市 英集少年院 運動場上空

特級仮想怨霊
その呪胎を非術師数名の目視で確認
緊急事態のため高専1年生3名が派遣
内1名死亡





補助監督の伊地知から友人の訃報を聞いた葛波は思うより先に走り出していた

伊地知の呼びかけも聞こえないほど本能的に走っていた

向かった先は高専の敷地内にある小さな寺


運動が得意ではない葛波は大きく肩を揺らしながら呼吸を整えた

視線の先には同期2人の姿

伏黒と釘崎は頬に湿布が貼られている

葛波はそんな2人を見て顔を顰めた




｢A…アンタ何しに来たのよ｣

｢勝手に部屋出てきていいのか？｣




葛波は要監視対象者

移動の際には補助監督か教師に連絡を入れなければならない

この数日間 しっかりそれを守って行動してきたが今回はそんなこと言ってる場合ではない




｢…虎杖はどこにいるの｣

｢アイツなら死んだ 連絡入っただろ｣

｢そうじゃなくて…
虎杖の遺体はどこにあるの？｣

｢……それ聞いてどうするつもりだ｣




顔を伏せた葛波に伏黒は違和感を抱いた

死に際に傍に入れなかった彼女の悲しみは理解できるが何故遺体の保管場所を聞いてきたのか

釘崎も疑問に思ったようで首を傾げた




｢…遺体があれば蘇生術が適用できる｣




葛波の言葉に2人は目を見開いた

蘇生術 それは禁忌の術だ

使用したら確実に処刑される

いくら呪術界にとって貴重な存在だとしても例外なく処刑対象になる




｢アンタ何考えてんのよ！バカなの！？｣




釘崎は階段から立ち上がり葛波の肩を掴んでグイッと顔を上げさせた

葛波の瞳には涙で潤んでいて今にも泣き出しそうな表情をしている

これには釘崎と伏黒も動揺した


呪術界なんていう不慣れな場所にやってきた彼女は虎杖が唯一の知り合いだった

彼が葛波にとってどれだけ大切な存在だったかということは誰にでも理解できる

そんな虎杖が死んでしまったのだ

蘇生術なんていう禁忌の術を犯そうとしても無理はない




｢一緒に地獄で生きようって約束したの
…自分だけ先に行くなんて許さない｣




虎杖悠仁と葛波Aは処刑対象者

大切に扱われているため忘れられがちだが葛波が死刑対象だということに変わりはない

地獄で生きるなんていう矛盾を抱えながらこの世界にいた虎杖と葛波の約束は早くも切れてしまった

釘崎は震える葛波を優しく抱きしめた

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