戦力外通告【呪術廻戦】

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なかなか戻ってこない二人

痺れを切らしたように伏黒が言った




｢やっぱ俺も行きますよ｣

｢無理しないの 病み上がりなんだから｣

｢でも虎杖は要監視でしょ｣

｢まぁね でも｣




今回試されているのは虎杖ではない

｢野薔薇だよ｣と五条は言った

それから言葉を続けた


虎杖は頭がイカレている

異形とはいえ自分を殺そうとした呪いを自分を殺そうとしてくる呪いを一切の躊躇なく殺りに行く

伏黒のように昔から呪いに触れてきたわけではなく普通の高校生活を送っていた男子高校生だ

才能があっても嫌悪と恐怖に打ち勝てず挫折した呪術師を五条と伏黒は見たことがある




｢でも釘崎は経験者ですよね
今更なんじゃないですか？｣

｢呪いは人の心から生まれる
人口に比例して呪いも多く強くなるでしょ｣




地方と東京じゃ呪いのレベルが違う

レベルと言っても単純な呪力の総力だけの話ではない

狡猾さ 知恵をつけた獣は時に残酷な天秤を突きつけてくる


そんな二人の会話を葛波は右から左へ聞き流していた

自分と関係のない話には興味がない

現に今も葛波は書類庫から持ち出してきた資料に目を通していた

それが気になった伏黒は覗き込むように見たが何が書いてあるのかサッパリ分からない

蛇のような文字も所々にある図も何を表しているのか理解できない




｢どうして葛波は待機させたんですか？
どうせなら一度に試験すればいいでしょ｣

｢まぁそうしたいところなんだけどね｣




葛波の場合そう簡単に任務に向かわせることはできない

呪符師というのは後方支援がメイン

術師本人が前線に赴き任務をするのは極めて特例で過去に数例しかない

更に今の呪術界に呪符師という存在は葛波Aただ一人しかいない

万が一任務先で命を落としたなんてことになったら今度こそ上層部はブチ切れるだろう

最悪の場合色んな理由を付けて虎杖の処刑を実行するかもしれない




｢それに君も任務行きたくないでしょ？｣

｢…痛いのと怖いのはイヤなので｣

｢そういうわけで利害の一致ってやつだよ｣




納得したように伏黒は葛波を見た

確かに彼女は運動神経良さそうにも見えない

それに人畜無害な雰囲気は健在で伏黒からしたらやはり一般人のような感覚

彼女が呪術界にとって貴重な存在だということは言葉上では理解しているが本心的な所ではイマイチ理解しがたい部分もあった

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