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まだ鳥も鳴いていない朝の4時
葛波は眠い目を擦って体を起こした
カーテンを開けて外を見てもまだ薄暗くて物音さえもしない
水で喉を潤しているとコンコンと扉をノックする音がした
恐る恐る扉を開けると異様な格好をした男性が立っている
彼は葛波を見て「やぁ」と手を上げた
「おはよ!早速だけど行こうか!」
「うっ…朝から声が大きいです…」
「はいはーい 行くよー」
五条は耳を塞いで顔を顰める葛波の手を引いて部屋から引きずり出した
渋々足を動かす葛波は時折あくびを零す
それもそのはずだ 朝の4時なのだから
五条についていくように歩いていくと仰々しい観音開きの扉前に辿り着いた
扉は鉄製のようで見るからに厳重な部屋だ
五条はどこからともなく鍵を取り出して扉に突き刺した
ガジャンと扉を開けるにしては重々しいような音が響いた
扉を開けると中に溜まっていた冷たい空気とカビが生えたような陰気が溢れ出す
思わず葛波は顔を首襟に潜した
「ほら行くよ」と言って進む五条を追う
部屋の中は暗くてよく見えないが書物庫だということは分かった
前後左右書棚ばかりで古い紙の匂いがする
五条は部屋の中央にあるランプに火を灯した
「えっと…ここは?」
「関係者以外立ち入り禁止の書類庫だよ」
「ダメじゃん!今すぐ出ましょうよ!」
二人しかいない書類庫に葛波の声が響く
動揺しながら「処刑されちゃう」と慌てる葛波を見て五条は笑った
「
「そうなんですか?」
「そうそう!君がいるから大丈夫!」
「私?」
首を傾げ頭の上にハテナマークを浮かべる葛波に五条は「そうだよ」と答えた
この書類庫に仕舞われている資料は全て呪符に関するもの
その中でも
門外不出の特別呪符である惺戒呪符の仕組みを読み解こうとも葛波家の者にしか分からない呪字で書かれているため読むことができない
諦めた上層部の人間はこの書物庫に片付けたというわけだ
「自由に使いなよ 全て君のものだ」
五条は鍵を渡すと部屋を去って行った
その背中を見送った葛波はぐるりと辺りを見渡した
数えきれないほど多くある資料が自分のものだと言われても正直困る
けれども与えられたからには活用するしかないと一人覚悟を決めた
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プスメラ - 初めまして、この小説は恋愛小説ですか?できれば五条悟オチにしたいです。お願いいたします。続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月22日 9時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - ひかるんさん» ひかるん様コメントありがとうございます!拙い語彙力で伝えられたと思うと嬉しいです!これからもご愛読よろしくお願いいたします! (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 海宙さん» 海宙様コメントありがとうございます!有難い言葉本当に嬉しいです!あ…見つかっちゃいましたか笑 やはり趣味が合うようですね笑 (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるん(プロフ) - 夢主の感情が伝わって泣いてしまいそうになりました。早く夢主に頼れる人ができるようになってほしいです。更新頑張ってください。 (2020年12月26日 22時) (レス) id: b91485c027 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - 他者との距離感や会話の仕方、距離の詰め方まで完璧すぎです。本当に本当に大好きです!これからも無理の無い更新頑張ってください!どうでも良いことなんですがこの前他作者様の作品にコメントをしようとしたらばぐさんが先にコメントしていて思わず笑いました!笑笑 (2020年12月26日 21時) (レス) id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばぐ | 作成日時:2020年12月11日 20時