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空に向かって立つ煙突のひとつから煙が出た
虎杖の祖父を火葬したのだ
虎杖と五条はベンチに腰を降ろしてその光景を眺めていた
特級呪物である両面宿儺の指を取り込んだ虎杖は選択を迫られていた
今すぐ死ぬか両面宿儺の指を全て取り込んでから死ぬか
どちらにせよ死ぬことに変わりない
親のような存在であった祖父を亡くしたばかりの虎杖にこんな話をすることに五条は少しながら罪悪感を抱いた
「こういうさ呪いの被害って結構あんの?」
「今回はかなり特殊なケースだけど被害の規模だけで言ったらザラにあるかな」
呪いに遭遇して普通に死ねたら御の字
ぐちゃぐちゃにされても死体が見つかればまだマシな方だ
両面宿儺の捜索をするとなれば凄惨な現場を見ることになるだろうし虎杖本人がそうならない保証はない
「俺さ葛波の写真が好きなんだ」
「…これまた急に どうして?」
「アイツの写真って変なんだよ
どっか遠く映しててピントが合わねえの」
最初はシンプルに写真撮るのが下手なのだと思っていたが大会で入賞していたりするからそういうわけではないのだと気付いた
だけど今分かった
葛波は呪霊を撮ろうとしていたのだと
「やっと葛波が撮りたかったもん視えるようになれて俺ちょっと嬉しいんだよね」
「へー 悠仁ってあーゆー顔が好きなんだ」
「可愛いっしょ葛波」
確かに虎杖の言う通りだと五条は思った
特別優れているわけではないが人目を引く
意外とコロコロ変わる表情や何気ない仕草に釣られるのも無理はない
「宿儺が全部消えれば呪いに殺される人も少しは減るかな」
「勿論」
「…あの指まだある?」
虎杖は少し悩んだ後そう言って宿儺の指を受け取ると躊躇いながらもパクッと飲み込んだ
ズンッと呪力が強くなる
しかしすぐに虎杖は呪いを押さえ込んだ
相当不味かったようで涙目になりながらもあまりの不味さに笑った
五条も嬉しそうに笑った
それもそのはず 千年生まれてこなかった逸材が見つかったのだ
「覚悟はできたってことでいいかな?」
ニヤリと笑って五条は尋ねた
しかしYESかNOかで答えたらNOだ
どうして自分が死刑なんだと思うとやはり納得がいかない
けれども呪いを放っておくことはできない
「宿儺は全部喰ってやる 後は知らん」
覚悟を決めた虎杖を見て五条はまた楽しそうに笑った
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プスメラ - 初めまして、この小説は恋愛小説ですか?できれば五条悟オチにしたいです。お願いいたします。続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年1月22日 9時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - ひかるんさん» ひかるん様コメントありがとうございます!拙い語彙力で伝えられたと思うと嬉しいです!これからもご愛読よろしくお願いいたします! (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ばぐ(プロフ) - 海宙さん» 海宙様コメントありがとうございます!有難い言葉本当に嬉しいです!あ…見つかっちゃいましたか笑 やはり趣味が合うようですね笑 (2020年12月26日 22時) (レス) id: a81a0b3a5c (このIDを非表示/違反報告)
ひかるん(プロフ) - 夢主の感情が伝わって泣いてしまいそうになりました。早く夢主に頼れる人ができるようになってほしいです。更新頑張ってください。 (2020年12月26日 22時) (レス) id: b91485c027 (このIDを非表示/違反報告)
海宙(プロフ) - 他者との距離感や会話の仕方、距離の詰め方まで完璧すぎです。本当に本当に大好きです!これからも無理の無い更新頑張ってください!どうでも良いことなんですがこの前他作者様の作品にコメントをしようとしたらばぐさんが先にコメントしていて思わず笑いました!笑笑 (2020年12月26日 21時) (レス) id: c037788408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばぐ | 作成日時:2020年12月11日 20時