検索窓
今日:2 hit、昨日:11 hit、合計:32,474 hit

客人 ページ16

「蛍原少女! 客人が見えているぞ!」

『師匠。客人って、私にですか?』

「そうだ!」

甘露寺さんと同様、気配なく庭に現れた煉獄さん。
私は首を傾げながら、縁側から立ち上がる。

客人って、誰だろう?

私が煉獄家に滞在していることをを知っている知人は、それこそ今晩任務に向かうという炭治郎くらいしか……。

「玄関のすぐ横の客間に通している! 早く行ってやるといい!」

『はい!』

「照れて逃げるAちゃん、乙女っぽくて可愛い〜!」

『だから違いますって!』

「後でお茶とお茶菓子、持っていきますね」

『ありがとう、千寿郎くん』



『お待たせしました。蛍原Aです』

そう声をかけて、客間の障子を開ける。
すると障子の隙間から、尻尾を揺らした茜が飛び出してきた。

『え、茜?』

「一仕事シテキタデスゥ!」

「その狐さんに、ここまで案内して頂いたんです」

『貴方は、照久山での……!』

「ご無沙汰してます。先日は本当にありがとうございました」

客間の座布団に正座していた少女は、私を見るなり深々と頭を下げた。
私は茜を抱き上げながら、客間に入って障子を閉める。

『よかった、無事だったんですね。お元気そうで何よりです』

私がそう言うと、藍色の着物を着た少女は顔を上げて柔らかく微笑む。
肌は以前よりも血色がよく、綺麗に梳かされた長髪がさらさらと揺れる。

座敷牢の時とは似ても似つかないが、間違いなくあの家に囚われていた少女だ。

「はい。私は山を降りてすぐに、麓の医者のお世話になって……つい最近、ようやく遠出の許可を貰えたんです。お礼を言いに来るのがこんなにも遅くなってしまい、申し訳ありませんでした」

『そんな、お礼なんていいですよ。鬼を斬るのが、私の仕事なので』

少女の向かいの座布団に座り、軽く会釈する。
すると少女は眉を下げて悲しげな表情を浮かべ、俯き気味に言う。

「今日はその……この前のお礼と、聞きたいことがあってきたんです」

『聞きたいこと……? 私に答えられることなら、なんでも聞いてください!』

少女は唇をぎゅっと噛み締めて拳を握り、真っ直ぐに私を見つめて問いかける。



「A姉。私のこと、覚えてる……?」

『……っ!』


彼女の言葉に、私は静かに目を見開いた。

A姉。
懐かしい。昔私が家族から呼ばれていた呼び名だ。

その呼び名で私を呼ぶということは、もしかして……



『……沙代? もしかして、沙代なの?』

高熱の夜→←私にとって



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
137人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 原作沿い
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅いちご - 続編ですか!!楽しみに待ってますね! (2021年11月6日 22時) (レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます! 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います! (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました(語彙力)更新頑張ってください! (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます! 本当ですね! 全然気がつきませんでした……ありがとうございます! (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年9月22日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。