GUILTY #Masayuki

１８歳、春。 ページ1

１８歳、春。




「……先生？」





放課後、私たち以外には誰もいない教室。





「ん？どうした？」




私は、自分の席に座り、




"先生"は、私の前の席のイスをこちら側に向けて座って




机に広げられた教科書に視線を落としている。





「………明日、卒業式だね。」





「……そうだね。」





返事をしながら、こちらを見た先生。




メガネの奥の優しい瞳と出会うと、トクンと鼓動が跳ねた。




開け放した窓から、サァーッと静かな風が教室内に入り込んで



カーテンを揺らす。




「私……生徒じゃなくなります。」





「………ふっ。そうだね。」



頬杖を付いて、口角を上げる先生。




「………生徒じゃ、なくなりますよ？」





「うん。そうだね？」




口角をあげて、真っ直ぐ、私を見つめたままの先生。




私も、視線を反らさずに、真っ直ぐ先生を見つめた。




「………ねぇ、先生」





ドクンドクン、と心臓の音が自分自身の耳に響く。




机1つが間にあるだけの私たちの距離。




私のこの、心臓の音、



聴こえてるんじゃないかな、って




そう思ったら、




もっともっと、心臓が大きく鳴った。





「あのね。」





意を決して、次の言葉を紡ごうとした時……






キーンコーンカーンコーン……





そのチャイムの音に思わず身体が跳び跳ねた





「あ」




時計を確認すると



18時30分




もう少し、もう少しと引き伸ばしていた時間




ついに、うちの学校で鳴る、最終下校時間のチャイムが鳴ってしまった。




「ほら、最終が鳴ったぞ。早く片付けて帰りなさい。」





先生が私の教科書をパタン、と閉じて立ち上がった。





「あ、待って、」




慌てて私も立ち上がると





「！」




ポンポン、と私の頭を撫でた先生





「また、明日。

気をつけて帰りなさい。」





そのまま教室を出ていこうとするから





「先生！

これが、ホントに最後だから！

これで、ホントに最後にするから、だから聞いて！」





「…………」




私に背を向けたまま、何も言わない先生。




緊張で、



私の手は……震えてた。

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