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サカズキ「…そのネクタイ、クザンのじゃろう。」
『……似てるだけだと思う、が、な…思い、ます？
……すまない、暫く年上と話さなかったもんで。』
そう言って笑いながら頬をかいて誤魔化す姿は、A・パシヴァールそのものだった。
いい老け方をしている。当人は気がついていないが、見事に色気が増している。以前の口調だと明らかに違和感があっただろう。
サカズキ「…楽に話せ。」
『…感謝する、サカズキさん。』
いつもと違う呼び方に、少し眉をひそめたが、次々と浮かぶ疑問を投げかけようとして、手を前に出され、制止される。
『…これから起こることについては答えかねる。それによって未来が変わってしまうのは、違うからな。』
サカズキ「…そうか。」
それだけ言って特に追求することは無かった。
どこからか湧いてきたお茶が4人の目の前に出てくる。なんの動揺すらなしに口をつける男に周りは驚くばかりだった。
メガネを下げて再び急に現れた本を読み始める男に、また驚く。
『……？飲んでも変なものは入ってないはずだが…』
クザン「え、いや〜…そういうんじゃないと思うけど…」
首を傾げる男に、やはりAなのだと理解する。
老眼なのであろうメガネ越しに文字を追う目、垂れる髪。全てに色気が詰まっている。
三大将は少し震えた。何故かと言えば、20年ほどずっと可愛げのあるAを見てきたと言うのに、いきなり年上になったのだ。しかも成長の具合と言えばそれはもう上々。それは立派な紳士である。
視線に耐えかねて、本をテーブルに置いた男は、なんだか虫の居所が悪そうに視線をさ迷わせる。
『……コビーとヘルメッポの稽古をつけに行く。なんかあったらまた呼んでくれ。』
そう言って突如として姿を消した。
その場にはタバコの仄かな匂いと、3つのお茶だけが残っていた。
ボルサリーノ「…わっしと同い年なんてねェ…」
クザン「やばい…あれじゃあAちゃんじゃなくて、Aさんだよ…Aちゃん、あんなんになっちまうのか……。」
サカズキ「……"さん"か…」
口々に反応を示す。
子供の成長というのは感慨深いものではあるが、今回得た感慨深さ…それ以上の感情。
クザン「せっかく薬ってんなら、惚れ薬とかだったら良かったのになぁ。」
サカズキ「馬鹿言っとらんで手を動かさんか」
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作者名：みるつき | 作成日時：2022年9月27日 7時
