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ガープ「挨拶、できるな?」
優しい顔でそう促されれば、少年は頷くしかなく、こくんと首を上下させた後、2人の前に出てくる。
『え、と…ぼくはA、A・パシヴァール。大佐です…!今日は、よろしくお願いします!』
そう礼儀正しく頭を下げた少年に、2人は驚愕する。
コビー「ななななな、なんですって!?Aッ、パシヴァール!?Aさんッ!?」
ヘルメッポ「こりゃどうなってやがる!?あの鬼みてぇなパシヴァールはどこ行ったんだよ!?」
そんな驚きを隠せない2人に、少年はコビーに向かって両手を差し出す。
コビーは疑問符を浮かべつつもその手に自らの手を重ねた。
すると少年は嬉しそうに笑い、きゅっと手を握った。
上下にブンブンと振られる手。恐らくこれは握手だろう。
なんだか、コビーは愛おしさのあまり泣きそうになる。
確かに2人の知るA・パシヴァールは、この少年の面影を残している。顔の傷だって一緒だ。
次はヘルメッポに「ん!」と手を突きつけてくるので、ヘルメッポも手をとる。また同じように握手され、少年は満足そうに1歩下がった。
ガープ「よし、よく挨拶できたな。」
そうわしわしと頭を撫でるガープに、Aはご満悦。といった表情だ。
ガープ「今日はこのAが稽古をつけてくれる。小さいからと言って、舐めてかかると痛い目見るぞ!」
ぶわっはっはと笑い、ガープはそこら辺のベンチに腰掛ける。
『…いいですよ、いつでも掛かってきてください!武器でもなんでも使ってもいいですからね!』
そういう少年は素手。
最近になって大きい方のAも槍を使うようになったと言うのに、大丈夫なのか?と思うが、ヘルメッポは容赦なく攻撃に移る。
…しかし、小柄な故の俊敏さで全く歯が立たない。
それどころか翻弄され、背中から打ち倒されている。
『えへへ、地面に着いたから負けですよ。
…えーっと』
ヘルメッポ「ヘルメッポだ!まだ負けたわけじゃねぇ!!」
そう言ってヘルメッポは少年を押しのけて、再度挑もうとするも、足を絡め取られ今度は手足の自由を封じられた上で地面へと叩きつけられた。
ヘルメッポ「おいおいウソだろ…コビー!!てめぇなーにやってんだ!」
コビー「だぁってヘルメッポさん!!!こんな、こんな可愛いAさんに殴り掛かるだなんて…僕は…僕はァ…!!出来ませんッ!!!」
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作者名:みるつき | 作成日時:2022年9月27日 7時