【ONEPIECE】鎧を纏う2【男主】 (ページ12)

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そう呟くエースはもう力が出ないのであろう。だらんと腕をぶら下げている。

エース「もう、みんなに届くような声は出せねぇ。
…俺が、これから言うことを、あとからみんなに伝えてくれ。

親父、皆…そして、ルフィ。今日までこんなどうしようもねぇ俺を、鬼の血を引くこの俺を…

…愛してくれてありがとう！」

そうボロボロと涙をこぼすエースはそのまま力なく倒れ込んだ。
兄弟の死を目の当たりにして、ルフィは大声を上げて泣き叫ぶ。

……正直、あぁなる前に止めたかったが…

地べたに横たわるエースの姿を見る。
…作戦としては、エースは1度死ぬ必要があった。
それは、エースに不自由をさせないための選択であった。しかし…

…私のこの選択は、正解だったのだろうか。

私の選択としては、エースに不自由なくこれから生きてもらうために、エースが死んだという事実を植え付けて、ここにいる全員。全てを欺く必要があると、この結果を選択した。

しかしどうだろう。涙を流す海賊たち、ガープ中将に今はこれが正しい道なのか？と胸が苦しくなる。
声にならない悲鳴をあげるルフィの心の声が伝わってきて酷く混乱する。

目的であったエースの処刑を済ませても尚、赤犬は猛攻を続けている。
…そこに怒りに満ちた白ひげが挑む。

…決死とも言える戦いの後、白ひげは赤犬によって膝を着く結果になる。

……そこまで行っても、この足は動かなかった。
息子と呼んでくれた相手に、何もしてあげることは出来なかった。

エースを生き返らせて、ここで命を落とした人はどうなるんだ？

赤犬の胸ぐらを掴む白ひげをただ眺めるばかりだった。
徹底的な正義を崩すかのように、白ひげの能力は赤犬を吹き飛ばすだけにとどまらず、海軍本部までもを陥落させた。

…ここまでの、犠牲を払って、エースを私欲のために生き返らせて…
それじゃあ、この事態は……まるで茶番劇だ。

白ひげ「ここから先は、俺が相手だ！！」

相当な手負いで孤軍奮闘する白ひげ。
海賊達は、悔しそうに船に乗り込んでいく。海軍は逃がすかと攻撃を続ける。

……ここまでの犠牲を払って…私は、

溢れんばかりの思いが込められた聖杯を見つめる。
…私は、正しいのだろうか。

海軍達が騒いでいることに気がつき、何かと顔をあげれば、名高き悪名たちが雁首を揃えていた。
…どうやら黒ひげ海賊団がお目見えの様子だ。