頂上戦争:遅ばせながら ページ1
巨人の域を超えた魔人の子孫が投げて寄越す軍艦を、巨人の力を持ってしても止めることは出来ず、このまま何かしらにぶつかるまで止まることは無い。
…そう誰もが思っていた頃、天から一筋光が降ってくる。あれは海軍の大将である黄猿のものでもない。
粉々になりゆく軍艦と噴煙の中、軍艦を止めた人物が姿を現す。
彼は、氷に足をつけて、頭上に舞い上がっている騎槍を華麗にキャッチすると、真っ直ぐにこちらを見やった。
『……大変だ、遅刻してしまった。我が王が送ってくださったのに。
そして、何か一直線に飛んでいくと思ったら…海軍の軍艦。
……これは、始末書を書かなくてはいけなくなってしまうかな?』
戦場ににつかわない笑顔を浮かべた彼に、海兵たちの歓喜の声が上がる。
「A中将だ!!!!」
「パシヴァール中将がお帰りになった!!!」
「これで守りは100人引きだ!!!!」
しかし、皆が首を傾げたのはその渦中の男の容姿がいつもと違うことにあった。
…いつもは純白の鎧を纏っている彼は、赤色の鎧を纏っている。それに、手にしている槍に見覚えもない。
そして、顔が見えている事だった。
声を上げていたのは少数の後衛部隊で、前衛部隊は白兵戦真っ只中。それどころではなかった。
「くたばれ海兵!!!」
ただ呆然と戦場の真っ只中に立ち尽くす2人に、刃を翳す巨漢。尻もちを着くその人間の前に、赤い影が割り込んでくる。
『…コビー君、ヘルメッポ君。無事かな。』
あっさりと男を槍で投げはらい、そう手を差し伸べる深紅の鎧に彼は酷く困惑した。
コビー「っ、Aさん…!!」
『2人は、ここに何をしに来たの?』
普段の陽気で温厚な男からは考えられないほど、冷たい声が2人に降り注ぐ。
…男は、この2人にこの戦場に来て何をしたいのかと問うたのだ。
それを答えられずにいれば、男は差し伸べていた手を引っ込めて、真紅の瞳で彼を捉えてこう言い放つ。
『…覚悟が決まってない人間が、戦場にくるべきではない。』
立ち去るその人に、何も言うことは出来ずに、ただ見送った。
肩を震わせながら、彼は膝をつき、目に涙を浮かべながら
コビー「僕は、無力だ…!」
そう嘆くのであった。
オーズを援護しろ。その声に海賊たちは反応して、走り始める。
それは頭の命に従おうとする一心から来るものだった。
しかし、その大きな柱も、強大な力を前に、崩れ落ちる。
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作者名:みるつき | 作成日時:2022年9月27日 7時