敬語美少女は知っている (ページ8)

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9話　上杉君ページ8

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上杉君はただ一人このクラス一番優しいと思う。

冷たいけど、その分優しさもすごい。

いつもの様に隣に座る上杉君にサメちゃんかネコちゃんの話をしようとしたけどすぐに口をつぐむ。

だって雰囲気が何処と無く暗かったから。

私は、小さな頃から、大人の顔色なんかを伺ったりする生活が続いたことがあったから、暗いなぁ、とかなんとなく雰囲気でわかる。

でも、上杉君はポーカーフェイスが上手いし、いつも無表情だから変化には誰も気がつかない。

自分の席に座ってからテキストを広げるんだと思ったのに、ぼんやりとしてため息をつきはじめる。

え、上杉君でもそうなることあるんだ・・・。

思わず話しかけようと思ってしまったけど、もしかしたら上杉君は一人でいたいかもしれないし。

上杉君は綺麗な目を細めるとこっちを見てくる。

目線・・・バッチリ会いました、今。

どうしよう。

無視、それとも・・・

「何ぼけっとしてんだ。」

え？

「理科の授業じゃねぇーって何回言えばわかるんだ。鉛筆出せ。消しゴムも。宿題やってるよな。」

机に目線を向けると理科のノートがある。

あれ、なんでだろう。

慌てて数学のノートを出して数学の教科書を出す。

そうしてる間に上杉君は宿題に目を通し始める。

なんで、

「いや、なんで先生よりもチェックが厳しいんですか。」

「なことねーだろが。」

いや、本当に切実な悩みなんですけど。