41話 9万6000台 ページ39
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どんな量のパソコンが支配下に置かれてるんでしょうか。
「今週の土曜日なら、」
若武君がパスタの皿をテーブルに配りながら言った。
「全国統一学力測定テストの日じゃん」
確かにそうですけど、でも、正午はテストが終わる時間ですよ。
「よしっ！」
七鬼君の声とともに、部屋に響いていたキーを打つ音が消える。
「俺の作業も、完了」
七鬼君はギュッと目をつぶり、天井を仰いで大きな息をつく。
「サーバーを特定し、俺の管理下に置いた。」
すごいですっ！
「接続記録から見て、このマルウェアに感染しているパソコンは、全部で9万6000台。その全部を突き止めた。」
9万6000台って、すごい数ですね・・・
「つまり、これらが土曜の正午、いっせいに秀明のメインコンピュータにD Dos攻撃を開始し、機能を停止させるんだ」
若武君はニヤッと笑った。
「見えたな。」
なぜか、急いで隣にいた骸骨にパスタの皿を押し付けてから腕を組み、皆を見回した。
そのポーズ、必要なくないですかね・・・
「今週末の全国統一学力テストは、その日のうちに成績を出し、カウンセリングを実施して学力を伸ばすってコンセプトだ。採点も集計も、全部コンピュータでやる。秀明のコンピュータが機能停止になったら、全国の塾の中で秀明だけ成績が出せないし、塾生のカウンセリングもできない」
そしたら、秀明の信頼度は無くなりますね。
それは、断固として防がなきゃですよね！
「秀明は責任を問われるし、信用を失うだろう」
七鬼君に目を向けると、いたたまれないほど切なげで、複雑になる。
隣で、机に突っ伏していた上杉君が、うっすらを目を開けてそれに気づく。
「じゃ、」
そういいながらあえぐような息をつき、体を起こした。
「次のステージ、いこっか。このプログラムを書き換えてマルウェアを無力化するんだ。そうすればD Dos攻撃は実行されないし、攻撃者も犯罪者にならなくても済む。プログラムに組まれてる実行時間は、土曜日の正午だ。逆に考えれば、それまでマルウェアは絶対に動かないってことだぜ。俺達には、たっぷり時間があるよ」
七鬼君は、力を振り絞るように頷いた。
「オッケ、いこう！」
視線を交わしてお互いの意思を強さを確認して、すぐさまそれぞれのディスプレイに目を戻す。
「どっからいく？」
「えっと、」
私はサポートできる位置に移動し、息を飲んで二人の作業を見つめる。
ああ、無事にかたずけられますようにっ！
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作者名：デラ | 作成日時：2021年1月17日 8時
