37話 前世は王子様 ページ35
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アーヤちゃんはちょっと考えて言った。
「私にプログラミング言語のテキストを貸してくれた黒木君と組みたい」
黒木君は姿勢を正し、片手を胸に当てて優雅に一礼。
「ご指名いただき光栄です、姫」
え、黒木君って、前世は王子様なんですか？
椅子に腰掛けるとキーボードを自分の傍まで寄せた。
小塚君が私の元に歩いてきながら緊張した面持ちをする。
「お願いだから、ゆっくり取り掛かろうね。有栖はスーパー頭いいけど、スーパー何をし始めるか分からないから。」
うーん・・・・
ディスってるんですか、褒めてくれてるんですか？
「きたぜ、文字列」
七鬼君の鋭い声が上がり、私はディスプレイを見た。
ものすごい数のプログラミング言語が浮かび上がり、画面を埋め尽くしています。
「さぁスタートだ、読めっ！」
美門君がパソコンに飛びつき、スクロールしていく。
めくっても、まためくっても文字列は終わらず、続いています。
「全部で、どんだけあるんでしょ」
美門君に聞かれ、上杉君が自分のディスプレイの端に視線を流す。
「たぶん、五万行ぐらい」
厳しいですね。
「まともにやってたら、時間かかりすぎるな」
黒木君が、まいったといったように両手で髪の毛をかきあげ、天井を仰ぐ。
「二手に分かれよう。正攻法でいくチームと、便法でいくチームだ」
それにアーヤちゃんがちょっとだけ困った顔になる。
「黒木君は、何を考えてるの？」
黒木君はちょっと笑った。
「これを仕掛けた奴には、目的があるはずだ。七鬼を裏切ってまで何かをやらかそうとしているのは、何のためなのか。愉快犯か、利益目的か。それがわかれば、探しやすくなる。そこに関係のある文字列を優先的に解析すればいいんだ。美門んとこの講師なんだろ。日常行動とか性格とか、趣味とか、わかるか。」
美門君は口角を下げた。
「俺、最近入ったばっかだから、全然×」
まぁ、先生の趣味とかって、よほど興味がないと知らないかもしれないですね。
「兵藤君なら、知ってるんじゃないかな。だって好きな人のことって、知りたいものでしょ。それ目当てに塾に行ってるくらいだから、すごく詳しいかもしれない」
アーヤちゃん、ナイスっ！
黒木君は、パチンと指を鳴らした。
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作者名：デラ | 作成日時：2021年1月17日 8時
