27話 トイレの花子さん ページ25
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「夜になると理科室にある、人体模型が不意に動くんですよねっ？！」
あ、確かにそういう怪談、あるよね、
読んだことあるもの。
「そしてそれを見た花子さんがショックでトイレに引きこもったとか。」
え？
そうなの？
みんなが呆然としてると杏珠ちゃんはいたって真面目な、青い顔で説明してくる。
「花子さんいらっしゃいますか？と聞かれてトイレに引きずり込まれるのは、その時の恐怖を共感して欲しいからなんですよ。」
初耳なんだけど・・・
思わず学校の怪談の本を読み直したい気持ちにかけられていると、杏珠ちゃんはふと思い出したように付け加える。
「あ、ちなみに私が考えました。怪談好きなんです。聞くのは嫌いだけど作るの好きです。」
ぶっ。
笑っていいのかわからなかったけど、面白さの方が勝って笑ってしまう。
一番笑ってるのは若武で、ツボったのか、お腹を抱えながら笑ってる。
それを見た杏珠ちゃんが無邪気に呟く。
「さっきまでクールっぽかったのに、ツボは浅いんですね。」
杏珠ちゃんの発言に、若武が、大ショックっ！
と、でも言いだしそうな顔になる。
「違う。俺はいつもクールだ。本当、そうだろっ？」
そう言いながら私たちを見回すけど、誰も頷かなかった。
だって、若武はいつもパワフルで、クールなのはどちらかというと上杉君とかのことをさすと思うし。
「そうだろっ！？」
もはや、懇願している若武。
それを見た杏珠ちゃんは一気に笑い出して、綺麗な青の瞳が涙で曇るほど笑ってた。
「あー、お腹の筋肉が無くなるっ。」
しかも、笑いが止まらないみたいで、お腹が痛いです、と言いながらも笑いまくっている。
さっきまでおとなしいイメージだった杏珠ちゃんがそこまで面白くない場面で大爆笑し始めたから、私たちはびっくり。
でも、やっぱり、なんか可愛い。
それに、落ち着くというか、温かみがあって、動物と触れ合ってる時に無条件に癒されるみたいな、そんな感じかな？
言葉に表せないかも。
癒されてる私を差し置いて、上杉君と小塚君は慣れてる光景らしく、
「うるせぇーよ。」
「静かにしようね。」
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作者名：デラ | 作成日時：2021年1月17日 8時
