3話 サメマニア ページ3
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それからクラスで一緒に過ごしてわかったことは、有栖は不器用というか、危なっかしいことだ。
多分教師はこのクラス全員が女子生徒、しかもとびきり可愛い生徒が来たことに浮かれてるのに、とっくに気がついてるのだろう。
そして、俺が内心興味を持っていても、態度にそれを表したり、馬鹿騒ぎする様な奴じゃねー事も。
それが幸か不幸か、俺の隣に有栖がきた。
フォローも俺が頼まれた。
端正すぎる美貌に見惚れてる一方、やめてくれ、という俺の願いも虚しく有栖は俺の隣にくる。
確かに興味を少し持っていたものの、わざわざ隣は理不尽の一言に尽きる。
「こんにちは！」
その一言を初めてに、俺はなんども恐怖体験の様な、スリル満点のお転婆劇を見ることになった。
問題のページを間違えたり、国語のノートを出してたり、シャープペンだと思って蛍光ペンを使ったり、すごく頭は冴えてるのに肝心な所で間違えたり。
ちなみに、サメマニアなのか、文房具は全部サメで統一されている。
ルックスに反してワイルドなものを好むのか。
以外だと思いながら、ドタバタ劇を最初こそは黙って無視してた。
無視してたのにはもう一つ理由がある。
彼女の深い沼のような魅力に溺れたくない。
薄々気がついてたが、彼女には独特な雰囲気がある。
静かで温かい、人を安らげるような、学校や塾、家庭内で感じるストレスが和らいでいくような気がする、そんな彼女だけのオーラ、が何も言わなくても彼女にはある。
ただ、一つきにかけているのが、でもそれに加えてたまに見せるものすごい暗い表情。
例えば教師が雑談している時に急に一つの単語に反応して瞳の奥でなんかいいか戸惑ったような影を見せるのを見たことがある。
黒木がよく見せる悲しげな瞳と激似だ。
いつだったか覚えてないが、昔、黒木にお前はトラウマ持っているやつが好きなんだろと言われたことがある。
その時俺は怪訝な顔したが、内心ではドンピシャだった。
そばにいればいるほど、気にかけて、依存していくとような気がした。
そんなこんなで接触しないようにしてる。
・・・いや、しないようにしてるはずだった。
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作者名：デラ | 作成日時：2021年1月17日 8時
