迎えに来る藍ちゃん ページ8
.
藍は、
「…運動神経がよくて足が速くて、一緒にいて楽しくて、元気貰えるんだ。
…あとね、困ったことがあったらすぐに助けに来てくれる、
ヒーローみたいな人かな…」
これまでのことを思い出しながら、ぼんやりと話す。
出会った時から、
藍は私のヒーローだ。
「…よっぽど好きなんだな、彼氏のこと」
「…ん、」
惚気だなんてとっくに気付いてる。
でもアルコールが入っていることを理由にして、許して欲しい。
「…どうかした?」
「いや、なんでもねえよ。」
そしてまた、彼は私の頭を撫でた。
……やっぱり、違和感。
その時、個室のドアが開く。
「お邪魔しま〜す」
一瞬にして静まる室内。
そして、入ってきた人物に徐々にザワザワとし出す周り。
主に、女子たちが。
なんだろう、と顔を向ければ
入ってきた人物とバチっと目が合った。
そしてその注目の人物は、私の方へ向かってくる。
「はい手どける〜
ダメっすよ、人のモンに手出しちゃ」
頭に置かれていた同僚の手は、藍によって寄せられた。
「藍…」
「迎えにきたよA」
周りはまだ騒がしい。
さっきまで、あれだけ頭がぼんやりしてたのにとある女子社員の声が、はっきりと聞こえた。
“「超かっこいい!タイプ!」”
…ちょっとだけ、モヤモヤ。
「立てる?」
藍に促されて立とうとすると足元がフラついた。
当たり前のように藍に支えられて、なんとか体勢を安定させた。
「ありがと、…藍?」
「ん?」
…今、私の隣にいた同僚を見ていたような。
そう思い、視線を隣の席にいた彼に移すと、また彼も藍を見ていた。
…?
「じゃ、失礼しました〜」
「あっ、お先に失礼します、お疲れ様です」
藍に支えられながら、お疲れ〜!という声が響く店を後にした。
……あ、電話してくれたお礼、言うの忘れちゃった、
次会社で会った時言わなきゃな
.
.
.
アルコールを摂取したあとの夜の散歩は気持ちがいい。
火照った身体を優しく冷やしてくれる。
「A」
「…え、」
突然藍が少し前に出たと思えば、背中を差し出して屈んだ。
それは“おんぶ”の合図。
「い、いいよ歩けるから、!」
「そんなフラフラされても説得力ない。ほーら」
「…でも、」
「はーやーく」
拒否権はないということか、
大人しく藍の背中に身を委ねる
足に手を通されて、一気に視界が高くなった
.
1760人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どんたろす - いつも素敵な更新ありがとうございます!他の方のコメントで、キューちゃんと仲良くしてる彼女に嫉妬する藍ちゃんが見たい、という声がありました。もしその話を書く機会があれば、おまけで陣馬さんと父娘のように仲良くしてる姿にもヤキモキしてる藍ちゃんも是非! (2020年9月20日 2時) (レス) id: 9081917f09 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵 - 初めてのコメント失礼致します。読んでいてドキドキキュンキュンしっぱなしで最初から最後まで止まりませんでした!これからも更新を楽しみにしております! (2020年9月19日 21時) (レス) id: 329b271bd3 (このIDを非表示/違反報告)
MARI(プロフ) - こ、こんな彼氏が欲しい…いつもキュンキュンありがとうございます(笑)ドラマは終わってしまいましたが、楽しみにしてます! (2020年9月17日 17時) (レス) id: de6259910f (このIDを非表示/違反報告)
どんたろす - (前文の続き→)現在はリクエスト募集してないとのことなので、もしリクエストするなら…と、あれこれ妄想するのが最近の楽しみです。ドラマは終了しましたが、MIU熱は冷めません!今後も素敵な作品が続きますように!沢山の作品を、本当にありがとうございます! (2020年9月8日 16時) (レス) id: 9081917f09 (このIDを非表示/違反報告)
どんたろす - 初めてコメントします。ねむさんの作品、凄く大好きです!ドラマの雰囲気を全く崩さず、藍ちゃんや志摩ちゃんの言動も、文章を読みながらリアルに想像出来ます。彼女の設定や性格も、読んでいて全く違和感無く、話がスッと頭に入ってきます。 (2020年9月8日 16時) (レス) id: 9081917f09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ねむ | 作成日時:2020年8月2日 16時