8歩目 ページ10
「いい人だった」
昼。席が前と後ろなこともあり一緒にお弁当を食べているモモにAは言った。当然モモは首をかしげる。
「誰が？」
「王子様」
ああ、とモモが納得する。
「やっと始まるのか………」
と意味の分からない言葉とともにモモは感慨深く頷いた。始まるとは何がだろう。同居生活か？
「何か悩んだら私に相談してね。絶対力になれるから」
言い切るあたりがモモらしい。そんなモモにAは笑った。
「うん。ありがとうモモ」
持つべきものは頼れる幼馴染みだ。もう一度心の中で感謝しておく。
そんな時だった。大きなミサイルが投下されたのは。
「すみません、A先輩はいますか？」
聞いたことのある声と女子の黄色い悲鳴。思い当たる人物が一人しかいなくてAは椅子を倒す勢いで立ち上がった。
そのせいで向こうも気づいたらしい。目が合い、その瞬間キラッと世界を輝かせた。
「あ、兄さ＿＿＿＿＿＿＿＿＿」
自己最高記録かと思うほど素早く王子様のところへ行き口を塞ぐ。群がる女子達からの視線なんて気にしていられない。ごめんなさいごめんなさい後でたくさん謝りますから許してください。
「ななな何の用かな東雲くん！！ああ図書委員のやつだねちょっとあっちで話そうか！！！」
「むぐ」
本当に何してんのこの王子様！？本当にもうマジで！！
Aの心の中でミサイルは爆発し広範囲に被害続出だ。救出が追い付かない。
口を塞いでいた手を離した代わりに手首を掴み蒼を空き教室に連れていく。鍵とカーテンを閉めてから、落ち着くために深呼吸をした。
「えっと…………ごめんね？」
蒼は困ったように笑いながら謝る。何をしたのかは分からないが悪いことをしたんだ、という顔。確かに、蒼は何も悪いことをしていない。これはAの立場の問題だ。
「………何か用があったの？」
Aは荒れ狂う感情を出来るだけ押し殺して聞いた。
「今日の夕食、何がいいかなって」
夕食！？
「母さん達は仕事で遅くなるから、作って食べててって。ほら、兄さんは今日早く出たでしょ」
一緒に登校したくなかっただけだ。逃げたわけじゃなく目立つ可能性を避けた結果だ。
「とりあえず、学校で兄さんって呼ぶの止めて。夕食は僕が作るよ」
「でも…………うん、分かった」
何か言いたそうな蒼だったがにこりと笑って承諾した。
兄の手料理と、普段オドオドしているAが普通に話してくれたことが嬉しいからした承諾だと、Aは気づいていない。
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
