11歩目 ページ13
昨日のハンバーグは疲れて帰ってきた父と優香里さんにも誉められた。Aもそれは嬉しく思う。
だがしかし。
「もう無理……僕心臓持たない……」
「あ〜、やられたか」
机に伏してそう言うとモモが首を振った。仕方ないというような溜め息と共に。
昨日の腕捲りや発言はイケメンだからなし得ることだ。そう、王子様にとっては普段女子にやることと同じで特別な意味はない。ドキドキしたのはAにそういう耐性がないからだ。分かっている。
「今日は何が起こるかね〜？」
「楽しんでるでしょ……」
ニヤニヤ笑っているモモを睨み付けてからAは溜め息を付いた。今は放課後。帰れば蒼がいる。メールによると昨日のお礼にチャーハンを作っているらしい。
「早く帰ってあげなよ。じゃあね♪」
「はいはい。明日ね」
モモは帰ってしまった。Aはもう一度溜め息を付いてから、家に帰る。
「ただいま……」
「あ、お帰り兄さん。もうすぐ出来るから座って待ってて」
キッチンから蒼が顔を覗かせる。カバンを置き座ると、仕上げとばかりに上からオリーブオイルをかけてフライパンを回した。あれが出来るのはもこ〇ちだけだと思っていたが、イケメンも出来るオプション機能らしい。
「召し上がれ」
綺麗に盛り付けられた美味しそうなチャーハン。蒼が席に着いてから2人で手を合わせた。
「いただきます」
ひと口食べると鼻に突き抜けるガーリックの香りと口のなかに広がる味。今まで食べたことがないくらい美味しかった。
「美味しい……！これ、すごく美味しいよ！」
Aは目を輝かせて言った。とはいっても前髪と眼鏡で蒼には見えない。
「良かった」
いつの間にか見つめられていたらしい。顔を上げると微笑んでいる蒼と目が合った。Aは花が咲いたような微笑みで顔を赤くする。
「えっと、その……作ってくれて、ありがとう」
「どういたしまして」
恥ずかしいがお礼を言うことは大切だ。全て食べ終わった後でそうお礼を言うと、蒼はにこりと笑った。
蒼の笑顔に誘われるようにAもはにかむ。前髪が揺れ、蒼にとっての宝石が見えた。
「やっぱり、綺麗だ」
「え？」
しっかり聞こえなかったらしい。Aは蒼を見た。チャンスだ。あの瞳を見てから気になっていたことを聞くため、蒼は口を開いた。
「何でその目、隠してるの？」
Aは身を固くした。聞かれなければ言うつもりはなかったが。
Aは一度息を吐き、重たくなる口を開いた。
「父さんが、悲しむから」
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埋夜冬(プロフ) - 名無しさん» 読んでいただきありがとうございます！ありますよー！蒼くんの方が高いです！そうですねぇ、大体10センチくらい差があると思っていただければ！ (2022年3月19日 7時) (
レス) id: 19b82d3da7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 身長差とかってあるんですかね (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - お伺いしたいことがあるんですが (2022年3月19日 3時) (レス) id: 39136fade0 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 古紗雪さん» 待っててくださりありがとうございます！更新頑張りますね！もうガン見しててください(笑) (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 龍晴さん» そろそろ続編にいきますよ！そこで完結です！夢主くんと蒼くんはどうなるのか！？麗は成敗出来るのか！？モモの正体は！？乞うご期待ですよ！ (2019年2月28日 22時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2018年12月28日 1時
