【リク作品】なくしたものを見つけに 4 ページ17
Aside
主『僕の誕生日でしょ!?何で仕事行っちゃうの!?賢くったって分かんないよ!!何でッ、いつも…………!!』
小さな僕は涙を流して首を振った。ああほら、二人とも困った顔してる。ダメだよ。昔から聞き分けがいい子だったのに。何であの時だけ、あんなにわがまま言っちゃったんだろう。
主『僕のこと、嫌いになったから………?』
どうしても顔が見れなくて、あの時下を向いた。今の僕は苦しくなる心を手で押さえながら両親を見る。
母さんは、泣きそうに瞳を潤ませて何度も首を振っていた。
父さんは、手を伸ばすけど途中で止めた。なんて声をかけていいのか分からないようだ。
二人とも苦しそうで、辛そうで。見てるこっちも辛くて涙を流した僕の頭を、肩を抱いていたルイが撫でた。
ル「大丈夫か?」
主「…………うん」
だってまだ続くんだ、僕が一番後悔してる誕生日は。
小さな僕は泣きながらガラス細工を取る。さっきまでくっ付けたり離したりしていたからバラバラで。そんな中手に取ったのは自分をモチーフにしたガラス細工だ。両親のを取らなかったのが不幸中の幸いだと思っている。
主『こんなの要らないッ!!!』
ガラス細工を掴んだ手を振り上げた小さな僕は、あの時の精一杯の力で投げ捨てた。それと同時に自分の部屋へ向かう。
裕『A!!!』
美『A!待って!!!』
扉の閉じる音が響く。この後は覚えている。ずっとベッドで泣いた。両親がケーキとかを片付けている音も、仕事をしに出ていった音も聞きながら泣いた。
やっぱり僕のこと、嫌いになったんだと思いながら。
だから、両親のことは知らなかった。
美『A……………ごめんね』
裕『あの子には、我慢しかさせてない。………親失格だな』
二人は静かに涙を溢して、黙々と片付けをした。ケーキの片付けを終えた机の上には、あのガラス細工が残っている。
美『………駄目ね。ヒビが入ってる』
小さな僕が投げ捨てたガラス細工にはヒビが入り、透明だったのが白くなってしまった。
裕『また渡そう。ずっと一緒にいられるようになったら、必ず』
美『ええ』
ヒビの入ったガラス細工を見つめた母さんは、近くにあった封筒にそれを入れ、棚の二段目に入れた。
二段目は母さんと父さんの大切なものや大事な書類がいっぱい詰まっていて、昔から開けちゃダメと言われていた棚だ。それがあってか、二人がいなくなった今も開けたことがなかった。
美『行ってくるね』
静かにそう告げた母さん達は、僕の部屋を悲しそうに見つめて家を出た。
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埋夜冬(プロフ) - まどかさん» ありがとう!ワクワクしてくれて嬉しいよ!今書いてるBLも見てくれたら嬉しいな! (2019年1月10日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - 完結、おめでとう!最後までワクワクしたよ!! (2019年1月9日 19時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2018年11月6日 0時