信じない理由 117 ページ31
「おや・・・・・・リリア様に言われて、監督生をお前のところまで連れてきたんだ。別に遅れてはいないだろう。大丈夫か、監督生」
全くもって大丈夫ではない。何だか息もしにくい気がする。体が固まって少しでも痛みを軽減できるように力を入れる。
・・・・・・あれ、何でボク、痛くなるって思ったんだ?
「子分、子分!こっちを見るんだゾ!」
ぽむ、とグリムの肉球が頬に当たる。少し体に込めていた力がなくなった。呼吸もしやすくなる。何だったんだろう今の・・・・・・。
「この小さいのが、監督生なのか?」
「そうだ」
「マレウス様とリリア様が言っていた?」
「そうだ」
「僕と行動を共にする?」
「そうだ」
「この人間がか!?」
「大きい声を出すな」
緑髪の人・・・・・・セベクさんはまた声を張った。ボクはきゅっと目を閉じてグリムを抱きしめ直した。どうしよう。セベクさん怖いし、なんかボクで驚いているし、困っているならエースたちと一緒に行動するしお昼もエースたちと食べるんだけど・・・・・・。
と言いたいがなかなか言い出せなさそうな雰囲気だ。
セベクさんはボクと目が合うと、さっと逸らして、それからまたボクを見た。怖くてボクは目を逸らした。
「そ、その・・・・・・驚かせてすまなかった」
「い、いえ」
辺りに気まずい空気が流れる。まだ自分からセベクさんの前には出られなさそうだ。だって怖いもん。怒鳴られたらどうしよう。
「怖がらなくていい。いきなりで驚いただろうが、良い奴だ。困った時は頼りになる。静かに話すようにリリア様からも言われていたからセベクも今後は気をつけて話してくれるだろう」
「貴様に言われなくてもリリア様に任されたことなのだ!しっかりこなしてみせる!」
声まだ大きいけど、慣れないとだよね。グリムを抱きしめる力を少しだけ緩めた。
「震えているな。怖いなら怖いと言っていい。セベクに言えばもう少し声を落としてくれる」
監督生はどうしたい?とシルバーさんが聞いてくれる。
いいのかな、言っても。セベクさんも少しだけムッとした顔だけど待っていてくれているみたいだ。
「あ、その・・・・・・声、もう少しだけ落としてくれると、嬉しい・・・・・・です」
「分かった、気をつける」
「良かったな、監督生」
シルバーさんはもちろんだけど、セベクさんも怖くないかもしれない。セベクさんの顔が少しだけ綻んだ。
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埋夜冬(プロフ) - れおさん» 読んでいただきありがとうございます!まだまだ続きますし書きたいところが書けてないので全寮終わってからが本番です!お楽しみに!! (11月7日 23時) (レス) id: 7f524a9c70 (このIDを非表示/違反報告)
れお - 監督生と他寮の絡みの勘違いが最高すぎます!更新楽しみにしてます! (10月30日 22時) (レス) @page26 id: bf0a07f8e6 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 三色団子さん» 読んでいただきありがとうございます!はてさてこれからどうなるんでしょうねー!お楽しみに!!コメントありがとうございます! (8月4日 22時) (レス) id: 7f524a9c70 (このIDを非表示/違反報告)
三色団子 - やっとこさ気づいたかパイセン…()面白い!!更新頑張ってください!! (8月4日 3時) (レス) @page21 id: f3a4577dfa (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 善さん» 読んでいただきありがとうございます!やっと!やっと気付いてくれましたね!オルトくんが!!!ここからイデアさん達がどうしていくのか見切り発進な作者も楽しみです!!コメントありがとうございます! (8月1日 23時) (レス) id: 7f524a9c70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜 冬 | 作成日時:2023年1月15日 19時