信じない理由 100 ページ14
「よーし、グリムやるよ!」
「オレ様面倒だからやりたくないんだゾ」
「ダメだよ、昨日パーティーでケーキいっぱい食べたでしょ、このままじゃ太っちゃう。それにいつまでも掃除しないままじゃいられないよ」
何でもない日をお祝いした次の日。ボクはやる気に満ち溢れていた。オンボロ寮は見た目が怖いけど、中はそれなりに豪華だし綺麗にすれば気持ちも晴れるというものだ。
いつまでも掃除しないから暗くて埃っぽいままなんだ。それに綺麗にしておけば学園長さんが呼んだ業者さんが作業の時に楽かもしれないし!
いつか、仲の良い人たちを寮に呼んでお泊まり会とか、してみたいし。
話せる人がこの学園で増えてからの密かな夢だった。青春みたいで憧れる。お友達とか、お泊まり会とか、そういうの。
「わしらも手伝うよ。物を持ったりは出来ないがね」
寮のゴーストさんたちもお掃除には賛成らしい。埃っぽいところで過ごしたら病気になるからね、と。
そうして大掃除が始まった。
ゴーストさんたちが開けてない部屋がどのくらい汚いかとかをすり抜けて確認してくれて、ボクが覚悟を決めて開けて、グリムと一緒に掃除をする。
長年使われてなかっただけあってすごく汚いし暗かったけど、それなりに掃除すればキラキラして見える。ゴーストさんたちに助言をもらったりして綺麗な部屋を増やしていった。
「今日はここまで!」
「疲れたんだゾ〜・・・・・・」
気付けば陽はとっぷりと暮れ、月が見えていた。頑張ったグリムのためにツナ料理を出して、ボクは掃除で汚れきった雑巾を干すために外に出た。
今日は満月だから外でも真っ暗ってほどじゃない。オンボロ寮の外観は怖いけど。
―――――――――カサ
「ッ!?」
い、いま、音がした。こんな夜に?何で?オンボロ寮に用事?
「おや、先客か」
後ろだ。後ろの高いところから声がする。
「お前もガーゴイルを見に来たのか?」
振り向いた方がいいだろうか。でもホラー映画とかだと姿を見た瞬間に殺されたりするんだ。無理だ。逃げなきゃ。そう思うのに足が震えて動けない。
「・・・・・・ああ、お前がこの廃墟に住み始めたという監督生か」
ボクのこと知ってる?生徒とか先生なのかもしれない。それなら挨拶ぐらいはしておかないと。
意を決して振り返った。
そこには、大きな角を生やした大男が、ライムグリーンの目でボクを見下ろしていた。
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埋夜冬(プロフ) - れおさん» 読んでいただきありがとうございます!まだまだ続きますし書きたいところが書けてないので全寮終わってからが本番です!お楽しみに!! (11月7日 23時) (レス) id: 7f524a9c70 (このIDを非表示/違反報告)
れお - 監督生と他寮の絡みの勘違いが最高すぎます!更新楽しみにしてます! (10月30日 22時) (レス) @page26 id: bf0a07f8e6 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 三色団子さん» 読んでいただきありがとうございます!はてさてこれからどうなるんでしょうねー!お楽しみに!!コメントありがとうございます! (8月4日 22時) (レス) id: 7f524a9c70 (このIDを非表示/違反報告)
三色団子 - やっとこさ気づいたかパイセン…()面白い!!更新頑張ってください!! (8月4日 3時) (レス) @page21 id: f3a4577dfa (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 善さん» 読んでいただきありがとうございます!やっと!やっと気付いてくれましたね!オルトくんが!!!ここからイデアさん達がどうしていくのか見切り発進な作者も楽しみです!!コメントありがとうございます! (8月1日 23時) (レス) id: 7f524a9c70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜 冬 | 作成日時:2023年1月15日 19時