信じない理由 13 ページ14
朝。学園長から言われていた監督生初日登校の日だ。ボクはトレイとケイトを連れて監督生を迎えに行く。
あの子のことは寮生達全員が目撃しているのである程度のことは話してある。帰る場所がないこと、しばらくは監督生として魔獣と一緒に勉強すること。
だがトレイとケイトには、真実を伝えてある。
そう、家族ーーーー姉に酷いことをされていたかもしれない、という事実だ。『大人は裏切る』『痛いことや気持ち悪いことはしないで欲しい』。あの子の口からそう言ったのだと言うと、2人とも口を押えて驚きと怒りの交じった表情をしていた。
「あの怖がり方は尋常じゃないと思ったんだ。体も随分と軽かった」
「もしかして、助けてくれる人がいないからあんなに怖がって、1人で我慢するしかなかったんじゃ······」
トレイとケイトからの言葉であの子が余程酷い暮らしを強いられていたことが分かる。すぐさま業務連絡用の寮長グループに送った。
あの子を家族の元に帰してはいけない。
ここは誰もあなたに酷い事をしないと伝えたい。
あの子が安心できる場所を作ってあげたい。
そう思って、トレイとケイトを連れて迎えに来たのに。
「監督生、その、格好は······」
かろうじて質問したのはトレイだった。
監督生の服はNRCのものだ。ズボンで少し大きめのサイズだけども、似合っている。
だが、ゆるくウェーブがかかっていた色素の薄い茶髪が切られていた。背中の間ぐらいまであったはずなのに。
髪は女の命。いつか誰かが言っていた言葉だ。監督生の髪はとても綺麗だったのに。どうして切ったりなんか······!
「あ、へ、変ですか?男子校だって言っていたので、ちゃんとした格好しなきゃと思って······」
『ちゃんとした格好』とは、少しでも女に見られないための格好か?そんなの、しなくていいのに。
ケイトがものすごいスピードでマジカメをしている。恐らくボク以外の寮長に現状を送っているのだろう。
「変ではないよ。制服も似合っている」
きっと昨日、たくさんの葛藤があったはずだ。髪を戻すのは、ヴィル先輩の方が綺麗にできるだろう。あの先輩がこの状態を黙っているわけがない。
「おい!早く行くんだゾ!」
「分かってるよ。監督生、歩きながら色々説明するよ」
「荷物、教材か?教室まで持っていく」
トレイが荷物を持って、ケイトが「行こうか」と優しく声をかけ歩き出した。
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埋夜冬(プロフ) - 茜さん» 読んでいただきありがとうございます!続編でやらせていただきますね!お待ちください! (2022年1月30日 11時) (レス) id: 71445b0c29 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - 夢主のイラストを見て可愛い!と叫びそうになりました。リクエストでハーツラビュルにお茶会に呼ばれたらというのをお願いします (2022年1月30日 11時) (レス) @page40 id: 6b60f4e764 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ユノンさん» こんにちは!コメントありがとうございます!私自身イラストが描けないので、絵心のある友人に頼んでみました!11日以降にまた覗いてみてください!きっとイラストが載ってますよ! (2022年1月6日 17時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 夢主人公のイラストが見てみたいです (2022年1月6日 12時) (レス) @page3 id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 星猫さん» 嬉しいです!!ありがとうございます!!続編までいくと思いますので、どうぞよろしくお願いします!!! (2021年12月30日 14時) (レス) id: 5c8498129f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜 冬 | 作成日時:2021年11月21日 23時