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あの火は―――――――――の証なんだ ページ3

皆の疑念の瞳が向けられる。ズンズン前に進むファルは素知らぬ顔だ。

「ファル」

「何だ?」

金色の目が向けられる。とろりとハチミツを垂らしたかのように溶ける瞳はAしか見たことがない。

「ハルさんが言おうとしていたことって何か分かる?あの白い火が何の証になるの?」

教えてくれるかもという期待半分、もう半分ははぐらかされるかもという気持ちだ。できれば答えて欲しいな、なんて。

「ああ。あの火はレベルの高い魔族の証なんだ」

「・・・・・・はっ?」

理解するのに時間が掛かった。
今、ファルは何と言った?レベルの高い"魔族"の証?あの白い火が?それは、その通り受け取ると、つまり。

「・・・・・・ファルが、魔族・・・・・・?」

しかもレベルの高い、今戦闘になったら絶対勝てない魔族だと。
でも、辻褄が合う。驚異的な強さや速さ、魔法の力だって、魔族であれば有り得ることだ。

ブルリと自分の体が震えた。

「怖がらないでくれ。俺は特別に使えるんだ。特別でレベルが違うから」

特別ということは、魔族ではないが何らかの理由であの白い火を使えるということか。つまりファルは魔族ではない。

目を見ると、相変わらずとろりと溶けた黄金の色だ。優しさと愛しさが混じったような安心する瞳。
ファルが、"Aには"危害を加えないと分かる。

「見えた。あれじゃないか?」

今向かっているのはログハウスみたいなところらしい。この人数でも泊まることが出来る少し大きめのものだ。

オリオンが言っていた。勇者たちが一休みするスポットとして、所々にあるらしい。結界の力で魔物の心配がない。だが結界を上書きしないと効果が切れると。そうやってログハウスは守られてきたようだ。

ファルが指さした先にはログハウスというには少し大きい木の建物がある。煙突があるのが見えた。これはお風呂か暖炉があるのでは!?
木の家に暖炉は、実はAの憧れである。揺れる椅子に腰掛けて暖炉眺めたい。あるといいな!

なんてワクワクしていたから、ファルの目が鋭くログハウスを――――――否、結界を見ていたことに気付かなかった。

「A、手を。ここは足場が悪いからな」

ス、と差し出されるファルの手を取る。まるでプリンセスと騎士みたいだな、と冷静な部分の脳が言った。

手を引かれて歩き、扉の前まで来た。
開くのかな?
ドアノブを回すと扉が開き、ヒノキの良い香りが漂ってきた。

まるでお散歩を喜ぶ仔犬→←君は何者だ



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埋夜冬(プロフ) - 千々さん» 最後までお読み下さりありがとうございます!!!もう本当にありがとうございます!超絶励みになってました!(語彙力) 主人公くんに万が一飽きると魔王様が攫う気満々ですが、その前にエル様がガードしにきます。玩具を取られたくないからね!!ガードが多いね主人公! (2021年3月13日 11時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 完結おめでとうございます! とても面白かったです! やっぱりファルの主人公に対する執着がいいなあと思いました。そしてファルが主人公に飽きる日は来ないらしいですが、もしそんなことになったら私が主人公を守りにいきます(( 本当にお疲れさまでした! (2021年3月13日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます!!作者は更新時間まばらですが、これからも精一杯頑張らせていただきます!今後もよろしくお願いします! (2020年8月26日 12時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 続編おめでとうございます! とても楽しくお話を読ませていただいています! 楽しいお話の中にちりばめられた謎がとても気になって……! これからも読ませていただきます! 続きを楽しみにしていますね! (2020年8月26日 8時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» ありがとうございます!予定では続編でちゃんと終われるはず!頑張りますのでお楽しみに!コメントありがとうございます! (2020年8月26日 5時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2020年8月25日 23時

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