生きたいと願うなら死が迫っていても抗ってみせろよ ページ9
思い出せ、あの時何を考えていた?クルシュが危なくて、『攻撃が当たる前に間に合え!』と必死に願っていた。まさかプ○キュア思考よろしく必死なお願いが叶っちゃった!みたいな感じか?
この世界そういうのもアリなの?
「A!!」
ファルが蔦の攻撃を避けながらこちらを見る。切羽詰まった顔は、Aではなくその後ろを見ていた。
後ろには向かってくる蔦。狙っているのは間違いなく自分。
「ヒッ!!」
刺される・・・・・・ッ!!!
ギュッと頭を抱え、来るであろう激痛に少しは耐える覚悟をした。
「馬鹿か!!」
罵る声と同時にバチィッと電気が走る音がした。顔を上げるとラナストが肩で息をしながら立っていた。手には短剣、足元には切れて落ちた蔦がある。
「あ、ありがとう・・・」
守ってくれたのだと理解してお礼を言うと、ギロリとこちらを睨んだラナストは短剣をAの目の前に向けた。
いきなりのことで息が止まる。
「いいか!攻撃が迫ってきていたら逃げろ!何で逃げないんだ!死にたいのかこの馬鹿!!お前のその脳と胴体は何のためにあるんだ?動かせ!考えろ!生きたいと願うなら死が迫っていても抗ってみせろよ!!」
ビリビリと鼓膜に響く声は、苦しそうだった。
ラナストはファルからAの過去を聞いた。幼い頃に両親を亡くした、可哀想な子。
あの蔦が迫った時も単に怖くなって動けなかったのだが、ラナストには死ねば両親に会えるから受け入れているように見えたのだ。だが同時に恐れていたのも知っている。死を恐れていたのなら生きたい証なのだ。それを誰かが教えなければ。
「立て。次は守らねぇからな」
ラナストの目はもう花の魔物を見据えていた。短剣を構え術式を展開する。
ラナストさんの言う通りだ・・・・・・。
Aは拳を握りしめ立ち上がる。怖くても動かなければ痛い目に遭うのだ。ならば抵抗して逃げればいい。そのためには立って足に力を入れておかないと。それから周りを警戒していつでも逃げられるように。
あともう1つ。
「・・・・・・試してみないと」
――――――花の魔物の攻撃は全てファルとエル王子の間に集中して!!
2人の間はちょうど開いている。ならばもうそこに集中させるしかない。ラナストと同じように花の魔物を見据えて、スキルを発動させる。
ふわりと風が前髪を揺らした。
蔦がファルに伸びる。だが急に方向が逸れ、地面を攻撃した。次から次へと蔦の攻撃がそこに集まる。
やった!!成功だ!
残骸も残らないのが火属性のいいところだな→←スキルを使った?
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埋夜冬(プロフ) - 千々さん» 最後までお読み下さりありがとうございます!!!もう本当にありがとうございます!超絶励みになってました!(語彙力) 主人公くんに万が一飽きると魔王様が攫う気満々ですが、その前にエル様がガードしにきます。玩具を取られたくないからね!!ガードが多いね主人公! (2021年3月13日 11時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 完結おめでとうございます! とても面白かったです! やっぱりファルの主人公に対する執着がいいなあと思いました。そしてファルが主人公に飽きる日は来ないらしいですが、もしそんなことになったら私が主人公を守りにいきます(( 本当にお疲れさまでした! (2021年3月13日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます!!作者は更新時間まばらですが、これからも精一杯頑張らせていただきます!今後もよろしくお願いします! (2020年8月26日 12時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 続編おめでとうございます! とても楽しくお話を読ませていただいています! 楽しいお話の中にちりばめられた謎がとても気になって……! これからも読ませていただきます! 続きを楽しみにしていますね! (2020年8月26日 8時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» ありがとうございます!予定では続編でちゃんと終われるはず!頑張りますのでお楽しみに!コメントありがとうございます! (2020年8月26日 5時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2020年8月25日 23時