第15話 ページ17
Aの涙はずっと流れている。一定のリズムで頭を撫でている間、しゃくりも上げずにただ流れる。
どれほど溜め込んでいたのだろう。家族がいないことは日々の言動で勘づいていた。だがこれほどまでに苦しい思いを誰にも告げずに生きていたのか。頼る人がいないから。頼るくらい大切な人を、作らないようにしていたから。
それは心を縛り付ける鎖だ。心が引きちぎれるくらい締め付けているのに、この子は笑っていたのだ。感情に蓋をして。苦しいのを我慢して、我慢して、隠して。
そう言えば、昨日寝ている間に泣いていたと思い出した。『ごめんなさい。いなくならないで』。その寝言は家族のことだろう。死んでしまった理由は自分にあると、本気で思っているのか。
｢Aは悪くないよ｣
その言葉に、Aは泣きながら首を振った。瞳には、変わらず何も映っていない。
｢本当は皆、もっと長く生きられるはずだった。俺が大切にしたから、死んじゃった。その償いをしたいの。だからいつも消えたいって思うのに･･････死ぬのは怖くて、できない。こんな自分も嫌だ。俺が悪いのに･･･｣
サクヤはぎょっとした。あの笑顔で、日常を生きている中で、いつも思っていたのか。消えたいと、死にたいと。
｢怖いって思ってくれて良かった｣
泣いているので短い呼吸を繰り返すAを抱きしめた。生きていてくれて良かった。怖いという感情があって良かった。
そして同時に、サクヤは理解した。Aの世話を焼きたくなる理由。離れたくない理由。
それは、Aが自分と似ているからだ。辛いのにひたすら隠して日常を送ろうとするその姿勢が近いから。だから見捨てられなかった。
｢大切な人は、もう作りたくない。でも･･･でも――――――｣
涙を流す目が閉じていく。サクヤの体温と撫でられる感触に安心したのだろう。これ以上心を締め付けるなら、眠ってしまった方がいい。
｢―――――寂しい･･･｣
小さな声。閉じた目はそのまま開かなくなった。すうすうと静かな寝息が聞こえる。だが涙は相変わらず頬を流れていく。せめて夢が苦しいものじゃないことを祈るしか、今のサクヤにはできなかった。
サクヤが辛いとき、仲間が話を聞いてくれる。｢どうした？｣と聞いてくれる仲間がいるのは心強い。だがAにはいなかった。寂しいなんて言葉じゃ足りないのが分かる。
大丈夫。俺が傍にいるよ。
眠ったAを横抱きしてベッドに下ろす。掃除なんて明日でいいや、とサクヤはAを抱きしめて眠った。
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*-七海-*@めぐ民 - う〜ん…泣ける！もう、今我情緒不安定だからww涙めっちゃ出るんやけどww (2020年8月25日 21時) (
レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» なりましょう！(2人は我らが見てるって事を知らないのだな…) (2020年8月11日 23時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» よし！2人で木になりましょう！！！ (2020年8月9日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» wwwじゃあ、我はその木の枝役に立候補します！！ww (2020年8月9日 22時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» でしょう！？私はめちゃくちゃイケメンな相手にやってるのを見る木の葉役に立候補します！！！ (2020年8月9日 13時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年6月28日 22時
