第9話 ページ11
｢あら何、今日天ぷらかしら？｣｢そうです｣｢あっ、私広告切ってあるのよ！油安くなるわよ！ほらあげるわ｣｢え、いいんですか？｣｢もちろんよ！使ってちょうだい｣｢ああそれなら私も安くなる広告持ってるわよあげるわ｣｢頂いていいなら嬉しいです。ありがとうございます｣
目の前でサクヤの手とポケットに安くなる広告が増えていく。ありがとうございます、とサクヤは全てもらってマスク越しに絵画みたいに綺麗な笑顔を振りまいた。おば様たちがキャーとはしゃぎ出す。まるでアイドルだ。いや確かにアイドルも真っ青の顔立ちをしているが。
｢大事に使わせていただきますね。それでは、俺は大切な彼に天ぷらを作ってきます｣
｢あらぁ！ええ、ええ、お幸せにね！｣
ちっがーう！！！
と全力で否定したかった。だが出来なかった。
サクヤが手を引いたので一気に距離が近くなったのだ。考えてみてくれ。国宝かと聞きたくなるほどのイケメンが目の前で微笑みを浮かべているこの状況を。何だかいい匂いがするし長くてスラッとした手が自分を掴んでいる。
待ってくれ顔がいい。人は綺麗すぎると声が出なくなるのだ。
違うと言う瞬間を逃してレジを通る。切り取った広告を使っていた。よく見たらさっきまで話していたおば様方が｢使ってくれてるわよ〜！｣とはしゃいでいた。なるほど、リップサービスか。
何だかどっと疲れた気がする。そもそもあまり人と会話することが得意ではないのだ。一言も喋ってなくない？という言葉は無視することにする。
｢ごめんね。俺スーパーとか行くといつもこうなんだ。ゆっくり買い物したかったよね｣
見るからにシュンとしてしまったサクヤに驚く。幻覚で垂れてしまったケモ耳が見えた気がした。まるでご主人様に怒られてしまった仔犬だ。
｢そっ、そんなことないよ！会社の人とサクヤ以外の人達と会ったの久しぶりだから驚いただけ！だから大丈夫！｣
慌ててフォローすると、
｢そう？それなら良かった｣
と笑ってくれた。良かった。やはり笑った顔の方が何千倍も素敵だ。少し幼く見える。本当に27歳か？
｢今日の天ぷらはとびきり美味しいものを作るね。期待していていいよ｣
何だかものすごい物が出てくる予感だ。初めに言った通り料亭レベルなのだろう。何も食べずに夕飯まで待つことにした。
とりあえず胃袋はがっちりと掴まれてしまったようだ。
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*-七海-*@めぐ民 - う〜ん…泣ける！もう、今我情緒不安定だからww涙めっちゃ出るんやけどww (2020年8月25日 21時) (
レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» なりましょう！(2人は我らが見てるって事を知らないのだな…) (2020年8月11日 23時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» よし！2人で木になりましょう！！！ (2020年8月9日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
*-七海-*@めぐ民 - 埋夜冬さん» wwwじゃあ、我はその木の枝役に立候補します！！ww (2020年8月9日 22時) (レス) id: cc0b3d41a2 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - *-七海-*@めぐ民さん» でしょう！？私はめちゃくちゃイケメンな相手にやってるのを見る木の葉役に立候補します！！！ (2020年8月9日 13時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年6月28日 22時
