バリアとかどうでもいいや、イグアナいるし ページ10
あの気持ち悪いウサギたちが、イグアナの殺気で怯んだのが分かった。唸るイグアナはじっとウサギたちを見つめ、ピリピリと肌を刺す感じは増すばかりだ。
「ギェ・・・」
ウサギたちは頭を垂れて引いていく。殺気だけで勝てないと分かって身を引いたのだ。
辺りに静寂が戻ってから、Aは安心して尻もちをついた。
「今の、君が・・・?」
「グゥ」
イグアナはまたドヤァとした表情をする。素人でも分かるほど強い殺気を、この白いイグアナが出したなんて。実はこのイグアナ、とんでもなく強いのでは?助けなくても自力で生きられたのでは?
なんて思うが、今はイグアナのおかげで助かったのだ。この先もいてもらわないと困る。
「すごい!ありがとう!」
ぎゅーっとイグアナを抱きしめてから木の棒を取りに行く。うん、振りやすくていいサイズだ。
「今日は帰ろう。ありがとう、君がいてくれて良かった」
魚も捕れたし、武器も取れた。上々だ。竹籠を背負いイグアナを抱きしめて帰る。もうバリアはどうでもいいや、イグアナいるし。
家に戻り早速魚を捌く。最近の高校生は魚が捌けるのか疑問だが、Aは両親が揃って昔から家にいなかったため家事全般は好きな分野だ。ただしよくメインを焦がす。何故か焦げる。もはや不幸の運命なのだろう。
だが自分はその不幸の運命を脱却した!と、思いたい。なのできっと今魚を焼いても焦げたりはしないはずだ。
「待っててね、今魚焼くから!」
そう言って後ろを振り向くとイグアナは薬草をモソモソ食べていた。
「え!?これ君が食べたくて捕ったんじゃないの!?」
いやツッコむとこそこじゃないよ!?とツッコんでくれる人はここにはいない。
イグアナは『それはお前のだ』と言ったふうに首を横に振ってからAを見つめた。
「そうだったの、ありがとう。美味しく食べるね」
にこっと笑って捌くのを再開する。今日は魚料理しか出せないが、栄養はあるし大丈夫だろう。
久しぶりだと感じてしまうほどちゃんとした料理に感謝をして、今日は終わった。
明日は木の棒でモンスターを倒す訓練をしよう。目標はあの気持ち悪いウサギを倒すこと。あと薬草も取ってこないと。横で寝ているイグアナがパクパク食べるので減るのが早い。魚も自分で取れるようにならないとなぁ。
「・・・今日はありがとう。おやすみ」
イグアナにお礼を言って布団を掛ける。イグアナがずっとこのサイズで居てくれると嬉しいが、次の日Aの期待は大いに裏切られることとなる。
起きたら隣にイケメンとか、それなんて乙女ゲーム?→←イグアナに転生したら魔法使えたかもしれない
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埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» わぁ!ありがとうございます!転生ものにハマってからずっと書きたかったものなのでそんなに褒めてもらえて嬉しい限りです!これからも応援よろしくお願いいたします! (2020年8月2日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。初期の頃から楽しく読ませてもらってます。オリジナル作品でこんなに面白くて設定がしっかりしているなんて、尊敬します…。文章力も羨ましい限り(泣) 応援しております、頑張ってください!!楽しみに待ってますっ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 4a3a7aaa8a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます!!サブタイトル忘れてることに気付いて慌ててつけました(笑)まだまだ続きますので、これからも応援よろしくお願いします!コメントありがとうございました (2020年6月28日 7時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - やっぱこの作品好きだなぁ。初期の方から応援させていただいているんですが、サブタイトルだったりお話の展開をものすごく楽しみにしています! (2020年6月28日 7時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2020年4月15日 6時