ファルは何手も先を読んでいるらしい ページ28
ファルと共に森に行く。久々の我が家でまた少し荷物を持って、さらに奥へと進んでいく。グオードが来ないか心配だったのだが、ファル曰く「俺がいるからもう姿は見せないだろ」との事だ。そういえば、『次俺にその顔を見せたら骨まで残さないよう燃やし尽くしてやる』って言ってたもんな。そりゃ怖いから出てこないわ。
だんだんと陽の光がなくなって、薄暗い森へと変化してきた。僕あんまり怖いの得意じゃないんだよな・・・とファルの腕を掴むと、ファルも肩を抱き寄せてくれた。うん、ファルがいるから怖くない。
「ファル、どんな薬草だっけ?」
「森の奥にある洞窟の中で光ってる薬草だ。どんな病気や怪我にも効くと言われているな。報酬がすごい額だから、貴族の誰かを治すためのものだろう。貴族と縁をつくっておくのも悪くないと思ってこれにした」
すごいな。あの一瞬でそこまで考えていたのか。
ファルは何手も先を読んでいるらしい。自分にはできない事だ。
暗くなる森の中を進んでいくと、風を吸い込んでいる洞窟を見つけた。森よりさらに暗い。まさに闇だ。
「洞窟は暗いから、しっかり手を握っておこう。大丈夫だ。道は俺の炎で照らすからな」
繋いでいない左手からポンッと火の玉が出た。ファルの手が投げるように前に流すと火の玉は空中でふわふわと浮いて洞窟の中を照らす。小さいのに明るい火だ。
「行こう」
「うん」
Aたちが歩くとその前を火の玉が照らす。岩だらけでゴツゴツしているのも、天井から水が滴っているのも分かった。おかげで怖くない。
「何処にあるんだろうね?」
「この洞窟の主が守っているらしいから最奥だな」
・・・・・・ん?
「い、今なんて言った?」
「この洞窟の主が守っているらしいから最奥だな?」
「聞いてないよ!?」
何この洞窟の主って!?普通に森の奥の洞窟で湿った場所にしか生息しない草とって帰ってくるだけだと思ってたのに!!?守ってるってことは戦うこと前提!?
ギルド初日、洞窟の主とエンカウントとか死ぬ。確実に余裕こいて行ったらボロボロにやられて帰らぬ人となるモブパーティの予感だ。
「大丈夫だ。俺もいるしAもいる。俺がいる限り、傷一つ付けるつもりはないぞ」
握っている手が強まる。確かにファルは森の主まで殺気だけで怯ませてしまうのだ。洞窟の主も余裕だろう。Aだってスキルを扱えるようになったのだから手助けができる。
Aもきゅっと手を握り返した。
あわよくばペットにしようと思ってたのに!!→←よくよく考えたら同意の上だとしても犯罪になるのでは?
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埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» わぁ!ありがとうございます!転生ものにハマってからずっと書きたかったものなのでそんなに褒めてもらえて嬉しい限りです!これからも応援よろしくお願いいたします! (2020年8月2日 22時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。初期の頃から楽しく読ませてもらってます。オリジナル作品でこんなに面白くて設定がしっかりしているなんて、尊敬します…。文章力も羨ましい限り(泣) 応援しております、頑張ってください!!楽しみに待ってますっ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 4a3a7aaa8a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます!!サブタイトル忘れてることに気付いて慌ててつけました(笑)まだまだ続きますので、これからも応援よろしくお願いします!コメントありがとうございました (2020年6月28日 7時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - やっぱこの作品好きだなぁ。初期の方から応援させていただいているんですが、サブタイトルだったりお話の展開をものすごく楽しみにしています! (2020年6月28日 7時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2020年4月15日 6時