待て待てここ木の家だから燃えるよ？ ページ17
アワアワしているAを一瞬見たファルが庇うように背中に隠してくれた。
｢手荒な真似だと？やってみろ、こいつとこの家に傷をつけたらお前らを消し炭にしてやる｣
ファルが右手を開くと、そこから火の玉が出てきた。クルシュの後ろにいる兵士が戦闘態勢を取る。緊迫した空気が張り詰めた。
しかしクルシュは手を挙げ戦闘態勢を崩すよう命じる。
｢言い方が悪かったな、すまない。あなた達は王が正式に呼んだ客人だ。王が会いたいと願っている。着いてきてくれないだろうか｣
王国隊長だと言うので命令に従わなかったら攻撃されるかと思っていたが、クルシュ隊長はしっかりと考えを持っている人のようだ。ちらりとファルの背中越しに見ると目が合った。じぃっと見つめられ、どうしたらいいか分からない。
｢人間風情が･･･！何故俺たちがお前らなんぞの言葉に従わなければならない。―――――今度は俺たちから何を奪う気だ｣
ファルの右手の火が大きくなっていく。このままでは燃え移ってしまいそうだ。木の家はさぞ燃えることだろう。
｢ファル･･･ッ！！｣
きゅっと背中の服を掴むと、ハッとしたファルの手から火は消えた。良かった。燃えることはなさそうだ。
｢大丈夫だ。安心しろ｣
こちらを見たファルが安心させるように笑う。だがファルにクルシュとの話を任せっぱなしにしてはいられない。守られてばかりじゃかっこ悪いじゃないか。
｢あ、あの･･･｣
おずおずと顔を出すとクルシュが首を傾げる。
｢王都ですよね･･･僕、行きます｣
｢A！！｣
｢本当か！？｣
いずれは行こうと思っていたレンドルア王国王都。彼らがいるということは王都までは完全な護衛付きだ。森にはきっと会ったことの無いモンスターもいることだろうし、ファルがついていても怖いものは怖い。騎士であるなら心強いというものだ。
｢ファル、いつかは行かなきゃいけない場所なんだ。なら、今ここで王都に行くのがチャンスだと思う。･･･どうしても嫌なら、諦めるけど･･･｣
王様に逆らったら怖いと言うのが半分、もう半分は王都見てみたい！という好奇心だ。ファルが許してくれればの話だが。
｢ッ〜！！･･･はぁ、分かった。俺もついて行く。Aを1人には出来ないからな｣
｢ありがとう！！｣
嬉しくてニッコリ笑うと、ファルも陽だまりみたいな笑顔を返してくれた。
クルシュに家を出る準備の時間を取ってもらい、部屋にある荷物をまとめた。
森の主のご登場です→←王族騎士団ってことは逆らったら死刑ですか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» わぁ！ありがとうございます！転生ものにハマってからずっと書きたかったものなのでそんなに褒めてもらえて嬉しい限りです！これからも応援よろしくお願いいたします！ (2020年8月2日 22時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。初期の頃から楽しく読ませてもらってます。オリジナル作品でこんなに面白くて設定がしっかりしているなんて、尊敬します…。文章力も羨ましい限り(泣) 応援しております、頑張ってください！！楽しみに待ってますっ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 4a3a7aaa8a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます！！サブタイトル忘れてることに気付いて慌ててつけました（笑）まだまだ続きますので、これからも応援よろしくお願いします！コメントありがとうございました (2020年6月28日 7時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - やっぱこの作品好きだなぁ。初期の方から応援させていただいているんですが、サブタイトルだったりお話の展開をものすごく楽しみにしています！ (2020年6月28日 7時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年4月15日 6時
