特殊スキル［集中］のみで転生は絶対バグだよ！？【オリジナル】

え、え、待ってこれ手を振っていいの？ ページ39

討伐メンバーが集まったところにファルとAが行くと、服を全て変えさせられた。

白を基調としたそれは軍服みたいだな、なんて考える。動きにくいと思ったのだが、全く気にならない。腰にはレイピアがついていた。初期装備だとエルが言っていたので有難くもらっておこう。ファルと木の棒でモンスターを倒す練習をしていたのが何だか懐かしく感じた。これでモンスターを倒せるぞ！

ファルは黒い軍服みたいなもの。腰には同じくレイピアがあって、金のボタンがファルのカッコ良さを際立たせていた。何よりマントが歩く度に靡いて本当に軍の隊長みたいで素敵だ。同性でも見惚れるくらい。

エルは王子らしい白の服だ。装飾が沢山あって、動きにくそうだなぁというのが素直な感想だった。

勇者オリオンはガッシリとした鎧だった。父の形見らしい。腰にはクレイモアという剣がある。すごい！本当に勇者だ！とちょっと興奮したのは秘密だ。

シスターのハルは修道服だった。シスターとしてその服は脱げないらしい。はら、と落ちる薄紫色の髪が陽の光に煌めいて、まるで神様から祝福を受けているようだと思った。

魔術師ヴィーシャは夜色のローブを着ていた。フードに付いている赤い刺繍は防御の古代文字だとファルが教えてくれた。左目の眼帯にも同じ文字が刻まれていて用心深いんだなぁと感心した。


クルシュとラナストは王国騎士団の制服を着ていた。青と白が基調の服は光を反射してキラキラ輝いている。いつもより凛々しく感じた。

何故Aとファルが着替えさせられたかといえば、出発式があるからだ。王子が行くので、国中からの声援付き。正式な衣装で出なければならないからと陛下が用意してくださったらしい。

門までの道はそれなりに長い。それを歩く馬車。外には｢ワー！！｣｢この国に平和をー！｣なんて叫ぶ国民たち。無駄に壮大な音楽。そして馬車の窓は全開。手を振る王子と勇者とシスター。魔術師は性格上そんなことしていなかったけど、たまに外を見ては頷くように頭を下げていた。

え、え、待ってこれ手を振っていいの？
お前じゃねーから！みたいなことにならない？
振るよ？いいね？振っちゃうよ？

王子へ目を向けると、にこやかに頷いた。大丈夫ということだろう。控えめに振ると｢頑張れー！｣と返ってきた。正直テンションがあがる。

ファルはずっと目を閉じていた。ファルらしいのでいいと思う。

門まで着いた。馬車から下りて、外へ進んだ。

ファルがいないと僕多分死ぬんで･･･→←だからあの時、最後の力を振り絞り･･･

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