吸血 31 ページ35
涼side
やっぱり。
Aの同居人のルイという男と初めて会った感想がこれだ。この男は俺と同じ、“こちら側”の存在だという俺の読みは正しかった。昔の俺と同じ匂いで確信が持てた。
殺しと、血の匂い。この男は一体何人殺しただろうか。
いずれはAも殺すのか。そんなことさせない。やっと見つけたんだ。誰にも渡さないと心に決めた。ずっと、もう何百年も待っていた存在をこんな奴に横取りされる気はない。
涼「なので、Aを俺に下さい」
目は笑わない。一種の威圧だ。Aが怯えただけでルイに効果はなかった。
本当にAは純粋すぎる。だからこんな男の種族に___噛み跡から見て吸血鬼___に目をつけらるんだ。
ル「それ、俺じゃなくてAに言えよ」
怒りと疑問の睨み。俺とは違って感情が見え見えだ。
涼「A、俺と一緒に暮らしましょう?」
俺はAを殺さない。ずっと大切にすると約束する。一切の危険からAを守ると誓う。だから俺のものになってくれ。
Aの目が俺を見つめる。不安や恐怖の目ではなく、確かな意思の目だった。
主「僕はルイの元を離れません。ルイは、全てを捨てて両親との約束を守るために僕の所へ来てくれました。なら僕も、全てを捨ててもルイの側にいる覚悟です。例え僕が一緒にいて死ぬ運命だとしてもそれは変わりません」
普段のオロオロしたAはどこへやら。ハッキリと意見を言われたのは初めてで反論することを忘れていた。
ル「残念だったな、後輩思いの先輩サン」
勝ち誇ったように笑うルイを感情全開で睨んだ。
主「あの、先輩………」
Aの目が不安そうに俺を見た。怒ってたりしてないか不安らしい。
涼「………なるほど。俺の心配は早とちりだったようですね。Aがそう言うなら俺は何も言いません」
ホッとAの口から安心の吐息が漏れる。
適当に話を終わらせて帰ることにした。これ以上ルイとかいう男と一緒にいたくない。
涼「では。A、また学校で」
主「はい。ありがとうございました」
ル「楽しかったよ、先輩サン」
この男、捻り潰してやりましょうか。
まあいい。精々束の間の幸せを噛み締めていて下さい。俺は次の手を打ちますから。
Aは誰にも渡さない。ルイがAから離れなくて、お互い大切な存在ならば、
ルイを、殺せばいいだけだ。
98人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» ありがとうございます!ここから戦争ですよ〜!楽しんでいただけたら嬉しいです!コメントありがとうございます♪ (2018年4月19日 23時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - おお、攻撃的な人、きましたね。これから吹き荒れる嵐、楽しみです!頑張ってください!! (2018年4月19日 22時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 猫さん» ありがとうございます!これからどんどん全面戦争(笑)に突入させていきますよ〜!コメントありがとうございます♪ (2018年3月19日 7時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 続き楽しみです!これからも頑張って下さい! (2018年3月19日 2時) (レス) id: e2df0854b1 (このIDを非表示/違反報告)
朱里。(プロフ) - 埋夜冬さん» オーケーです。わぁーい!!!たくさん話せる! (2018年3月17日 2時) (レス) id: 8144e7abed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:埋夜冬 | 作成日時:2018年1月29日 23時